2023年8月11日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1223.50で終わりました。一週間前に比べ-28.17(-2.25%)と続落しました。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.62%)やSP500(前週末比-0.31%)と比べると、小型成長株の弱さが目立ちます。
現在の米国株式市場は、7月までの急反発市場の後で、速度調整という感じです。景気、インフレ、金利の行方をもう一度確認したいステージに入っています。木曜日に発表されたCPIは市場予想よりやや弱い(インフレはやや緩和)数字でしたが、金曜日に発表されたPPIは逆に市場予想よりやや強い(インフレがやや加速)数字でした。市場は今後の趨勢を注意深く見ている感じです。
<米国の景気とインフレ>
市場には2つの大きな見方があります。
・いずれリセションがくる
・既にリセッションを心配するステージは終わり、次の景気拡大を予想する
前者を推す材料は、イールドカーブの形(短期金利>長期金利)、景気先行指標(LEI)、銀行貸し付けの厳格化、等、歴史的に説明力の高い指標がかなりあります。
一方で、後者を推す材料は、景気一致指標(CEI)、堅調な労働市場、海外から米国への生産拠点の回帰(リショアニング)等です。
株式市場はだまされたのか?(やっぱりリセションがくるのに)
あるいは
株式市場が将来を正しく読んでいるのか?(もうリセションはこない)
現在は、気迷い中で次の動きをさぐる時期に入っています。
<外部材料とウクライナ>
以前からこのコメントで注意すべき外部材料として
・中国景気
・欧州の政治
・ウクライナ侵攻
の3つを上げています。
今週は中国(及び中国景気)に対して、厳しい材料がいろいろとでました。
バイデン政権が、中国のIT等への投資について規制を強化し、さらに「中国の景気は時限爆弾」発言もありました。
中国の大手不動産会社、碧桂園の債務不履行や、デフレの一段の進行というニュースもありました。
中国の景気の問題は、大きな外部材料として常に注視すべきと思っています。
欧州の政治は、いまのところ大きな材料はありません。
ウクライナは、相変わらず西側メディアは「ウクライナの反転攻勢の遅れ」に焦点を当てていますが、(中立的と感じている)ユーチューバーは、「ロシアの反転攻勢」に焦点を当てています。8月は大きな変化がある可能性があります。
また、ロシア景気は堅調というニュースもありました。(4月~6月の経済成長率はプラス)
ロシア経済については、ロシアのルーブルが対ドルでかなり下落しているため、ロシア経済はいずれ破綻するという見方も根強くあります。(ルーブルが下落して、ロシアは欲しいものを輸入できない。輸入インフレも進む)
しかし、ロシアの一番の貿易対手国が中国で、中国はデフレに苦しんでいます。(=中国は輸出したくてしかたない。さらにデフレで、安い値段でも売りたい。)
ロシアは中国の必要なエネルギー・資源を多く持っています。決済は人民元建てが増えており、ルーブル・人民元レートは、あまり下がっていません。
これだけ見ると、ロシア経済の破綻は、可能性が低いと考えられます。
上記のような(戦線とロシア経済)環境を考慮すると、戦争の終わらせ方に焦点が当たっていくと思っています。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2023年8月11日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1223.50/4464.05=27.41%
26週移動平均との乖離は-0.58%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から28%程度で「低位安定」という感じです。長期的な視点で見れば、小型成長株は歴史的な買い場となっています。
上記の分析は単純にインデックスの水準だけを比較したものですが、ファンダメンタルデータ(利益水準およびPER)で比較しても、現在の小型成長株はかなり割安です。
「小型成長株は割安」といって1年以上なります。そろそろ小型成長株相場が来て欲しいと思っています。
→ 2020年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年6月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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