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アメリカ成長株:ミラティ・セラピューティックス(Mirati Therapeutics) がん免疫療法の欠点を補う併用療法を中心に抗がん剤を開発

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アメリカ成長株:ミラティ・セラピューティックス(Mirati Therapeutics)のアップデート

ミラティ・セラピューティックス
Mirati Therapeutics Inc
ティッカーコード:MRTX
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/MRTX

ミラティ・セラピューティックスについては、以前一度紹介しました。下記のページも参照ください
→ ミラティ・セラピューティックスの概要

ガンの原因は様々ですが、比較的多くのガン細胞で見つかっていて昔からガンを引き起こす原因として有名なタンパク質があります。それは“RAS”と呼ばれるタンパク質で、通常は主に細胞の増殖のオン・オフをコントロールしています。これに変異が起こると細胞増殖のシグナルがオンになったままになり、細胞がガン化することが分かっていて、ガン全体の約4分の1を占めています。

変異型のRASタンパク質がガンの原因となることは30年以上前に発見され、以来RASをターゲットとした様々なアプローチが試みられてきましたが、全て失敗に終わり多くの製薬会社が撤退を余儀なくされました。

あるタンパク質をターゲットして阻害剤を開発する場合、表面にあるくぼみや穴にピッタリと合う形の化合物をデザインするのですが、なぜかこのRASの表面はのっぺりとしていてくぼみや穴が見当たらないのです。
※阻害剤:機能を持つタンパク質や酵素の働きを抑える薬剤

その他のアプローチもことごとく失敗していて、研究が進めば進むほどRASが様々な手で守られていることが判明してきました。これは、RASがいかに細胞内で重要な役割を果たしているかを表しています。

ターゲットは明確なのになかなか手が届かないという状況が長年に渡って続き、研究者はもどかしい思いをさせられ、あきらめムードさえ漂っていました。ところが近年のコンピュータ解析や薬剤のスクリーニング技術などの発達によって不可能と言われていたタンパク質の阻害剤を開発できるようになったこともあり、再びRASをターゲットとした研究が活発化しました。

現在、アムジェン社のAMG510を筆頭に、ヤンセンリサーチ社のJNJ-74699157、イーライリリー社のLY3499446の開発が進行中です。

以前紹介したミラティ・セラピューティックス社もRAS阻害剤を手掛ける製薬会社の一つで、MRTX849が非小細胞肺ガン、結腸直腸ガンの臨床試験で第2~第3段階にあります。いずれのグループからも重篤な副作用などの否定的な結果の報告は上がっておらず、順調に進んでいるようです。

ガンの中でも生存率ワースト1として悪名の高い“すい臓ガン”も9割がRASの変異が原因とされていて、RAS阻害剤が実用化されれば今までは助からなかったような多くの患者さんの命を救えるようになると期待されています。

そんな夢のガン治療薬と言われるRAS阻害剤ではありますが、RAS自体が人体で重要な役割を果たしているが故に薬剤に対する耐性の出現が懸念されています。しかし、同社は以前から抗ガン剤の薬剤耐性を他の薬剤と併用することで克服する方法を開発しているため、たとえRAS阻害剤の耐性が問題になったとしても対処するノウハウを持っている強みがあります。
併用療法については以前の記事参照

現在この“夢のガン治療薬”の実用化に向けて各社がしのぎを削っており、どのような結末になるのか今後の展開に注目したいと思います。

 会社ウェブサイト
www.mirati.com

 

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