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アメリカ成長株: MPマテリアルズ(MP Materials):戦略上重要となるレアアースを米国内で生産

鉱工業

アメリカ成長株:MPマテリアルズ(MP Materials)の概要

MPマテリアルズ
MP Materials Corp
ティッカーコード:MP
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/MP

MPマテリアルズ社は主にネオジム磁石の製造に欠かせないネオジムやプラセオジムなどの希土類(レアアース)を供給しています。

レアアースはその名の通り需要の割に採掘量が少なく世界で取り合いになっている貴重な産業資源です。以前は磁石といえば酸化鉄を使ったフェライト磁石が主流でしたが、研究開発が進み現在はネオジム磁石と呼ばれる強力な磁石が産業に使われています。
ネオジム磁石は、自動車、工作機器、ロボット、コンピュータ、スマートフォンなどに産業用として幅広く使われていてハイテク製品には欠かせない存在です。

このようにレアアースは利用価値が高い割に産出量が少ないため国家にとっては安定的な確保が課題となります。
レアアースは世界中どこでも採れるわけではなく主な産出国は中国、インド、ブラジル、インドネシアなどに限られていましたが、最近では中国の独占状態になっています。
中国に偏る理由は圧倒的な価格の低さにありますが、これは人権が軽視され環境対策のコストかからない中国の強みによるものです。

しかし中国は輸出品を外交カードに使うことがあり、中国に依存することの危険性が認識されるようになった結果、中国依存からの脱却が進んでいます。
米国も長らく中国に依存してきましたが、危機感を募らせた政府はレアアースを国家安全保障に必須の戦略物資と位置づけて国内の生産企業に補助金を出すことを決めています。

同社は米国のカリフォルニア州にレアアース鉱山を所有していて、国際情勢の影響を受けずにレアアースを供給する重要な枠割を果たしています。同社のレアアースは採掘から仕上げまで4つの工程を経て製品として出荷されます。

1.採掘
鉱物は露天掘りによって掘り出されて表土を取り除く。

2.加工
破砕・粉砕・沈殿の工程によってレアアースを濃縮する。

3.分離
数段階の化学プロセスによってレアアースを元素別に分離して精製する。

4.仕上げ
純粋に近い状態まで精製して顧客の求めに応じた処理とパッケージングを行う。

全ての工程をその場で完結させる方式をとっていてコストダウンとオペレーションリスクの軽減を図っています。

レアアースは産業界にとって不可欠なものですが、採掘時にウランやトリウムなどの放射性廃棄物が出るため周辺の環境汚染を引き起こします。
SDGs(持続可能な開発目標)が掲げられるようになってからは特に採掘に伴う汚染が問題視され、採掘企業には厳しい環境対策が求められています。

その点で同社の環境対策は極めて優れていて、世界一厳しいと言われるカリフォルニア州の環境規制をクリアしていますがこれには以下のような理由があります。

・所有する鉱山自体が他のレアアース鉱床と比べて放射性物質が少ない。
・大量の水を使わずに有害成分を濃縮する乾式の処理法を採用することで排水を出さず地下水を汚染しない。
・使用する水は95%を再利用する閉鎖系で循環させるため排水を出さない。

通常鉱山では鉱物の精製過程で大量の水を使用するので危険な汚染物質を含んだテーリングダムと呼ばれる排水池の管理と処理の必要がありますが、同社の鉱山では排水が極力抑えられてこの問題を引き起こしません。

現在はロシアのウクライナ侵攻によってロシア産のレアメタルであるパラジウムの入手が困難になっていて、資源を海外に頼ることのリスクが顕著になっています。

世界のどこからでも安く入手できればよいという時代は終わり、レアアースのような国家戦略的に重要な資源は価格よりも安定的な供給が求められるようなり、同社にとっては強い追い風となっています。

会社ウェブサイト
www.mpmaterials.com

 

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