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アメリカ成長株:イントラセルラー・セラピーズ(Intra-Cellular Therapies):神経伝達改善薬の開発

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アメリカ成長株:イントラセルラー・セラピーズ(Intra-Cellular Therapies)のアップデート

イントラセルラー・セラピーズ
Intra-Cellular Therapies Inc
ティッカーコード:ITCI
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/ITCI

イントラセルラー・セラピーズ社については、総合失調症薬CAPLYTAの開発企業として紹介しました。
→ イントラセルラー・セラピーズの概要

今回はもう一つの神経伝達改善薬であるLenrispodunの開発について紹介します。

神経伝達の異常は筋肉の動きや精神に多大な影響を与えるもので
・心筋の収縮不全による心不全
・パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患
・躁うつ病や統合失調症などの精神疾患
の原因となります。

神経の伝達は神経細胞の表面を電気信号として伝わっていき、細胞の末端まで来るとシナプスを介して次の細胞に伝わります。

細胞と細胞の間は電気信号が直接伝わらないので、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなどの“神経伝達物質”が仲介します。

神経伝達物質は刺激を伝える側の細胞から放出され、伝わる側の細胞が受け取りますが、単純に電気信号が伝わるだけでなく神経伝達物質の種類や量によってその強さがコントロールされています。

同時に、神経伝達物質を受け取った細胞の中ではcAMPという情報伝達物質によってその刺激が伝えられて神経細胞の増殖、成長、活動、カルシウムイオンの流入、酵素の活性化などを促します。

この一連の神経伝達のどこかに乱れが生じると様々な症状を引き起こすことになります。
今回紹介するイントラセルラー・セラピーズ社の主な開発薬には、乱れた神経伝達を改善する作用を持つルマテペロン(CAPLYTA)とLenrispodunがあります。

ルマテペロンは神経伝達物質の代わりの働きをする物質で、神経細胞が伝える電気信号の強さをコントロールします。ルマテペロンはすでに双極性障害(躁うつ病)のための治療薬としてCAPLYTAという商品名で販売されていますが、従来品よりも副作用が小さいことが評価されています。

一方、Lenrispodunの方は神経伝達物質を受け取った神経細胞の中でcAMPによって伝わるシグナルを増強します。cAMPは神経伝達物質の刺激によって活性化してシグナルを伝え、役割を終えるとPDEという酵素で不活性化されます。

LenrispodunはPDEを阻害するように設計された分子で、cAMPの不活性化を止めることで活性化したcAMPを増やし、シグナルを増強します。
現在、パーキンソン病と心不全に対する第2相の臨床試験に入っていて、安全性と有効性が調べられているところです。

cAMPの果たす役割は多岐にわたっていて、PDE阻害剤は様々な病気の治療薬として有望と考えられています。
PDE阻害剤は心不全の治療薬としてすでに使われていますが、高血圧症、認知症、うつ病、統合失調症への使用も想定されています。
しかし、幅広い役割を担うcAMPであるがゆえに人為的に操作した場合に副作用が大きくなる可能性があるので、これから本格的な臨床試験に入るLenrispodunがどんな結果を出すのか注目したいと思います。

会社ウェブサイト
www.intracellulartherapies.com

 

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