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アメリカ成長株: カメコ(Cameco):ウラン燃料を製造

エネルギー

アメリカ成長株:カメコ(Cameco)の概要

カメコ
Cameco Corp.
ティッカーコード:CCJ
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CCJ

地球温暖化が引き起こす気候変動が世界中で報告されるようになり、いよいよ本腰を入れて対策を講じる必要があるという認識が広まってきました。

温暖化の主な原因と考えられる二酸化炭素を排出する化石燃料から太陽光、風力、水力などの自然エネルギーへのシフトが加速しましたが、天候に左右される、環境を破壊する、コストが高いなどの自然エネルギーの問題も浮上してきました。

途上国の人口増加・発展と先進国の脱炭素のための電化によって世界の電力需要は確実に上がっていて、自然エネルギーだけではまかないきれなくなっています。

これを補う上で、二酸化炭素を排出しない大規模で安定した発電といえば現在のところ原子力ぐらいしか見当たりません。原発の是非については賛否両論様々な意見がありますが、全ての電力を原子力に頼るとまではいかないとしても、ベースロード電源として活用するというのが多くの国の一致した結論になりつつあります。

実際、欧州連合(EU)から「原子力を低炭素社会実現のために活用する」という方針の発表が先日ありました。EUは311の福島第一原発事故以降縮小傾向だった原子力を復活させる方向に舵を切ったようです。

原発事故を起こした当事国である日本では、原発への風当たりが強くなり原子力関連事業の縮小が次々に決定されました。

原子力の安全神話が崩壊し、海外への原発の売り込みもことごとく失敗し、原発のイメージは失墜していましたが、世界に目を向けてみるとこの10年で原発は世界全体では微増、米国、フランス、英国などの原子力による発電が盛んな国ではほぼ横ばいで経済発展著しい中国にいたっては4倍近くまで増えています。

今回紹介するカメコ社はカナダ、米国、カザフスタンのウラン鉱床から採掘し、原子炉で燃料として使える形に加工して世界中の原子力発電所に出荷している大手メーカーで、このところの原発復活の兆しによって追い風を受けています。

天然のウランには“ウラン238”と“ウラン235”という放射性同位体が含まれていますが、ほとんどが分裂しにくい238の方で、燃料として使うには235の含有率を上げなければなりません。放射性物質を扱うため、ウランの加工や形成には特別な技術・施設・ライセンスが必要となります。

またウランのような放射性物質を扱う産業では、従業員の被爆や環境汚染の問題が避けられません。原発の問題と言えば、発電後に出る放射性廃棄物の方に目が行きがちですが、ウラン採掘の段階での問題も存在しています。

ウラン採掘が盛んなオーストラリアで鉱山労働者の健康被害や原住民であるアボリジニの土地の汚染を引き起こし、大規模な採掘反対運動に発展したという事例もあります。

最近は企業にESG(環境・社会・企業統治)目標の達成が求められるようになっていて、人権問題を抱える中国の新疆ウイグル自治区の綿花を使っているアパレルメーカーが非難され各地で不買運動が起きるということもありました。
新疆ウイグル自治区の人権問題は間接的かもしれませんが、ウラン採掘の問題では直接的な責任が企業に問われます。

企業が生産活動をする上でESGを無視できない状況になりつつあり、環境や健康に直接被害をもたらす可能性のある原子力産業では特にESGが強く求められることになります。

そこで同社は、ESG目標の達成のための具体策を提示し、それぞれの項目について改善していることや今後も継続することを強調しています。

ESG目標達成のための同社の対策は以下の通りです。
環境:
・地下水・排水の水質監視
・デジタル化・自動化による労働環境の改善と安全性の向上
・採掘、精製時の二酸化炭素排出の抑制

社会:
・職場の安全性の高めてTRIR(記録災害度数率)を下げる努力
・現地住民の雇用
・地元企業からサービスを調達

企業統治:
・労働者・執行役員の女性比率の引き上げ
・行動規範と倫理の教育の徹底
・全従業員に情報セキュリティ対策のための教育

2021年の福島第一原発事故の衝撃を受け、世界中で原子力政策が見直されることとなってウランの需要は縮小傾向にありました。

しかし「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではありませんが、ここに来て脱炭素社会を実現するためのベースロード電源として原子力が見直されるようになってきました。

原発1基の発電量は風力タービン400基、太陽光パネル300万枚に匹敵する効率の良さがあり、早急に脱炭素を迫られている現状では否応なしに原子力を選択せざるを得ない状況に追い込まれているというのが実情です。

高効率で低コストの再生可能エネルギーが広まった段階で追いやられるとしても、原子力はそれまでの“つなぎ”として重要な役割を果たしていくものと考えられます。

とは言っても、人々の放射能に対する恐怖心や不信感には根強いものがあり、事故やトラブルが起きる度に株価が下落するリスクは避けられません。

しかし、原子力は国レベルの公共事業がほとんどである上に原子炉を一度導入すれば60年近く稼働することになるので長期契約が多く、急激に伸びたり縮んだりせず安定しているところが原発ビジネスの利点となっています。

最近同社では契約が増加傾向にありましたが、今回のEUの原発復帰の方針が「あのEUでさえ原発を選んだ」というインパクトを世界中に与えて原子力産業が再び活気づくきっかけとなり、同社もさらに業績を伸ばしていくことになるでしょう。

会社ウェブサイト
www.cameco.com

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