2024年1月12日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1237.61で終わりました。一週間前に比べ+7.93+0.64%)と小幅反発となりました。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.34%)やSP500(前週末比+1.84%)の間にあります。
インフレに関するいくつかの材料が発表されましたが、FRBの利下げ期待を上げる材料と下げる材料が交錯したため、全体として株式市場は小幅上昇となっています。小型成長株は一週間前が大きく売られたのですが、その負けを埋めることができず、まだ冴えない動きのまま、という感じでした。
まず、1月8日に発表されたニューヨーク連銀が発表した12月の消費者調査の「1年先の期待インフレ率が3%まで低下」が利下げ期待を上げたものの、その後発表になったCPIが予想より強く、また労働市場のデータも堅調でした。しかし、12日に発表されたPPIが前月比で予想外に下落したため、再び「利下げは近いかも」という感じとなりました。一週間を通じてみれば、「利下げ期待が上がったり下がったり」となり、株式市場は小幅上昇に終わっています。
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
この2年間、米国小型成長株は「主力インデックス」に対して相当「負けて」おり、まだまだ水準としては割安です。利上げ局面が終わったため、目先の利食い安をこなしながら、トレンドとしては「過去2年間の負け」を取り返す相場が続くと期待しています。
<外部材料>
台湾の総統選挙で、「より反中国的」な民進党の頼候補が勝利しました。しかしながら、「より親中国的」な国民党候補(第二位)と民衆党候補(第三位)の得票の合計は、頼候補を大きく上回っています。さらに同時に行われた立法府の議会選挙では、民進党が過半数を維持できませんでした。
ニュースのヘッドラインは「台湾が反中国的な路線を継承」となっていますが、全体としてみれば「より多くの台湾市民は親中国的」という印象となります。
頼総統は、「親米的・反中国的な政策」を推し進めるのでしょうが、議会が親中国、かつ市民の過半数は親中国であるため、今後いろいろと難しいことが起こる可能性があります。
ウクライナは相変わらずロシアが戦線でジリジリ押しており、さらにミサイル攻撃も激化しています。一方でウクライナの戦力(砲弾と兵隊)の限界が明確になりつつあります。ウクライナへの停戦圧力が一段と高まりそうです。
長期的に西側諸国にとって一番厄介なのは、イスラエルの問題です。
フーシに対する米英軍の攻撃があり、戦火が拡大しました。さらに南アフリカがICJに「イスラエルのガザへの攻撃はジェノサイドである」と訴えました。米国の民主党の一部などの、「西側諸国のリベラル派」も同じ主張をしています。
米国大統領選挙もいよいよ本格化していくなかで、「何が正義なのか」についてのブレがでてきます。外部材料の悪化を懸念しています。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年1月12日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1237.61/4783.83=25.87%
26週移動平均との乖離は-0.46%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から27%~28%程度で「底値での横這い」という感じでしたが、2023年9月にはいり、さらにこのレンジを下に突き抜け、ついに2023年11月上旬には25%割れまで下落しました。FRBの利下げ期待が出てきたことから下げ止まっていますが、まだまだ異常に低い水準にあります。
小型成長株の本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。(外部材料が落ち着いてくれることを、願いながら)
→ 2020年9月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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