2023年12月29日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1284.09で終わりました。一週間前に比べ-1.57(-0.12%)とほぼ横ばいでした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.81%)やSP500(前週末比+0.32%)より弱かったのですが、この数週間は小型成長株が強かった反動もあるようです。
今週は、クリスマス休暇と年末に挟まれ、出来高も少なく小動きな一週間でした。
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
今週で2023年の株式市場は終わりました。
2022年末と2023年末を比較すると、SP500は+24.23%、一方ラッセル2000グロースは+17.79%となっています。小型成長株は、この1年間で約6%のアンダーパフォーマンスとなっており、小型成長株は主要インデックスに対してかなり出遅れています。
さらに、2021年の前半から比較すると、対主力インデックスでは「猛烈」な負けとなっています。
インフレは落ち着き、一方企業業績は比較的堅調を保っています。非常に理想的な市場環境であり、「小型成長株を過剰に避けていた市場が正常化すれば」、現在の「異常な割安状況」は時間をかけて修正されると思います。2024年は小型成長株に大きな修正相場が来ると期待しています。
<外部材料>
米国株式市場に対する、「米国国内の環境」は理想的です。
しかし、「米国の外の環境」は非常に懸念される状況が続いています。むしろ、一段と悪化しています。
イスラエルのガザ侵攻は、世界的な批判にも拘わらず継続しています。しかし、イスラエルの目的である「人質の救出とハマス壊滅」は、まだ明確な成果を上げていません。
時間とともに、イスラエル(そしてイスラエルを支えるアメリカ)に対する批判の圧力が、さらに加速度的に高まります。
米国内では「イスラエル批判=アンチセメティズム(ユダヤ人差別)」を主張する共和党と、パレスチナ人の人権を重視する民主党リベラル派が批判合戦をしています。民主党のバイデン政権は、これまでのイスラエル外交と、政権支持層と政敵の方向のねじれ、そこに大統領選挙が絡まり、身動きが取れない状況です。
その状況で、イスラエルが目的を達成できずに国際的圧力に屈するのか?それとも圧力を無視して目的達成まで突っ走るのか?その時のイスラエルとアメリカへの国際的な「信頼」はどうなるのか?こういったことは、他の国際的緊張である、ウクライナ問題と台湾問題にも影響を与えます。
ウクライナ侵攻は、相変わらず日本国内メディアと、(中立的と感じている)ユーチューバーやブロガーのコメントに大きな乖離が見られます。
日本のメディアは「ウクライナの反転攻勢は停滞し、失敗した。今後のことは、あまり触れない」という感じです。
しかし、(中立的と感じている)ユーチューバーやブロガーは「既に、ウクライナの戦線は多くの場所で崩壊しかかっている。唯一の成功例であるロボティネ(解放した村)ですら、再びロシアに取り戻されそうになってきた。戦線のどこかでロシア軍の大きな突破の可能性がある」という感じです。ウクライナは追い詰められている、と言っています。
このような「追い詰められたウクライナ」を支えられるのは米国だけですが、先述したイスラエル問題(と国内政争)が、米国の手足を縛っています。
さらに、中国の不動産問題は、全く解決の兆しが見えません。
イスラエル問題の悪化、ウクライナの戦線崩壊、中国不動産問題の爆発。
今年は「外部材料をずーっと心配してたけど、無視してくれて良かった」という感じです。
しかし、2024年は「米国国内の状況は良い。しかし、外部材料をもう無視できない」となる可能性があります。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2023年12月29日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1284.09/4769.83=26.92%
26週移動平均との乖離は+0.46%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から27%~28%程度で「底値での横這い」という感じでしたが、2023年9月にはいり、さらにこのレンジを下に突き抜け、ついに2023年11月上旬には25%割れまで下落しました。
最近数週間、「金利引き締め局面終了期待」によって、小型成長株のリカバリーが進んできました。これにより、やっと27%台まで回復してきました。
しかし、現在の水準は長期的には「まだまだ安い」水準にあります。小型成長株の本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。(外部材料が落ち着いてくれることを、願いながら)
→ 2020年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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