2022年6月24日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1087.09で終わりました。一週間前に比べ84.65ポイントの急反発(+8.44%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+5.39%)やSP500(前週末比+6.45%)を上回る上昇率でした。
前週までに2週連続で大幅に下落したことから、買戻しがはいり強烈な反発となりました。
小型成長株が今週主要インデックスにアウトパフォームしたことで、先週の割り負けは相殺され、4月以降の「相対的な横這い」は継続しています。
<ウクライナ侵攻の曲がり角>
ウクライナ侵攻は曲がり角を迎えたかもしれません。
まず戦線ですが、ゼベロドネツクからウクライナ軍が撤退しました。リシチャンスク(河を挟んだセベロドネツクの双子都市)の包囲も近いのではとの報道もありました。ルガンスク州の戦闘は、ロシア軍の勝利が近づいてきました。
一方、西欧は波乱の芽が出始めました。フランスではマクロン大統領の与党が議会選挙で過半数を下回り、ベルギーでは大規模なデモ、イギリスではスト、さらにイタリアでは与党が分裂の危機。全てインフレによる生活悪化を背景としています。
ウクライナがEU加盟候補国となりましたが、ロシアへの追加的な制裁はしませんでした。またG7議長国のドイツのショルツ首相は議会演説で、「ロシアとの戦いだけでなく、飢餓、貧困、健康危機、気候変動との戦いも重要」と主張しました。
ここにきて、原油価格が落ち着いていますが、欧米諸国のインフレ・金利高による景気後退が背景と言われています。しかし、最近「制裁の穴」である中国・インドへの追求が緩んできたことも理由では?と懸念しています。
中国・インドがエネルギーをロシアから買い、その分ロシア以外からの購入は減っているはずです。ロシアのエネルギーは欧州→中国・インド、ロシア以外のエネルギーは中国・インド→欧州に移っています。インドはさらにロシア産原油を精製して石油製品を欧州等に輸出しているとも報道されています。結果的に、全体の需給のバランスが取れつつあるかもしれません。
もしそうならば、インフレに苦しむ欧米は、「中国・インドの制裁の穴」を表面では困ったと言っていても、本音では歓迎している可能性すらあります。
非難がトーンダウンしているのは、そういった「裏の理由」があるのでは??
今週はG7とNATOの会議がありますが、言葉だけでない何かがでるのでしょうか?
欧米から供与された武器によって、ウクライナが反撃を開始できるのでしょうか?
ウクライナ戦線の悪化と(ウクライナ侵攻と制裁の結果の)インフレと食料危機の激化。
表面の言葉はともかく本音では、軸足が(もはや難しい)ロシア撃退から、戦争を終わらせるように移動するのでは?あるいは自ら制裁を骨抜きにして、インフレと食料危機の悪化を抑えたいのでは?
上記の様々な疑問の答えが明確になっていくと思っています。
<小型成長株の押し目買い>
引き続き、毎日少しずつグレートスモールを買っています。今週の後半にかなり市場が反発したため、先週の突っ込みは非常に良い買い機会となりました。しかし、まだまだ波乱が続くと思います。引き続き長期的な投資機会と捉え、買いを継続します。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年6月23日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1087.09/3911.74=27.79%
26週移動平均との乖離は-0.61%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
現在の水準は、2020年のコロナの最悪期をも超え、リーマンショック以来の歴史的な割安水準になっています。相対的には歴史的な買い場となっており、非常に魅力的な投資機会を提供していると思っています。
→ 2020年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年4月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
コメント