2020年5月29日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1012.09で終わりました。一週間前に比べて、17.83ポイントの上昇(+1.79%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+3.75%)やSP500(前週末比+3.01%)に比べると、やや低いリターンでした。先週までの小型成長株の大幅なアウトパフォーマンスで、ゆがみ(小型成長株が主要株式に比べて割安だったこと)が修正され、今週は反動としてのアンダーパフォーマンスでした。
経済活動の再開の拡がりで、失業保険申請件数など経済データの悪化がピークアウトしてきており、少しづつ経済状況は正常化に向かっています。一方で、株式市場はじゃぶじゃぶの財政・金融政策でかさ上げされて既に割高なため、まだしばらくは次のトレンドを探る動きになると思っています。基本的には先週までと同じ考えです。
次のトレンドを決めるのも、先週までと変わらず1)薬の効果 vs 経済活動再開によるコロナ感染の問題の再起 2)米中緊張 の2つと思っています。
<薬と経済活動再開について>
4週間前からこのコメントで書いているように、下記のウェブサイトで示される、「Active Cases(現在治療中の患者数)」と「Daily New Deaths(日ごとの新規死者数)」をモニタリングしています。
テキサス州やカリフォルニア州など注目州の新規感染者は横ばい・微増です。死者数は横ばいという感じです。薬の効果なのか、療法が改善したのか、それとも単に暖かくなって紫外線が強くなったからなのか、理由はわからないのですが、状況はあまり悪化していません。この傾向が続けば、株式にはプラスの材料と思っています。
<米中の緊張>
香港、ウィグル、ファーウェイ、中国人学生からのビザの取り上げ・・・等々。これまでなら数か月に一度あるかどうかの「一撃」を、連日中国に浴びせています。それも、議会が全会一致でトランプ政権にプレッシャーを与えているケースもあり、オールアメリカでやっている、という感じです。
米中の緊張は、長期的にはアメリカ、特に米国小型成長株にはプラスと思っています。しかし、短期的には波乱につながります。
特に香港の問題は。「中国に入る資金、中国から出る資金の世界的流れの破壊」につながるリスクがあり、場合によっては破壊力が非常に大きく注目すべきです。
体調や病気に例えれば、
・コロナ問題をきっかけとしたグローバルサプライチェーンの改造(世界の工場としての中国での生産集中→一部は先進国に工場が戻り、一部は友好的な途上国での生産に移す)は、「世界の体質が変化する」という感じのものです。この流れはさらに加速しますが、短期的には劇症というより慢性的なトレンドです。
・香港問題が中国関連の金融機関問題に発展した場合は「劇症」になる可能性があります。「世界金融の心臓麻痺」「世界金融の脳梗塞」という感じになります。「詰まったところから一気に問題が噴出する」からです。
<米国の小型成長株の割安について>
5月29日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1012.09/3044.31=33.25%
26週移動平均との乖離は、+0.63%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、長期的に32%~38%のレンジで推移していました。
短期的には中立、長期的にはまだ小型成長株は割安、という感じです。
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