アメリカ成長株:セイバーズ・バリュー・ビレッジ(Savers Value Village)の概要
セイバーズ・バリュー・ビレッジ
Savers Value Village Inc
ティッカーコード:SVV
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/SVV/annual
セイバーズ・バリュー・ビレッジ社は、衣類、寝具、バス用品などのテキスタイル(繊維製品)を中心に靴、バッグ、アクセサリー、書籍、小型家電、スポーツ用品などの中古品を販売するリサイクルショップを米国、カナダ、オーストラリアで経営しています。
インスタグラム、フェイスブック、ピンタレストなどのSNSを活用し、エコファッションショーを開催していて、リサイクルされた衣料、アクセサリーだけで作られたコレクションを披露することで環境の保護やリサイクル品の魅力をアピールしています。
また、アメリカ人が毎年捨てている衣料品の平均的な量に相当する81ポンド(約37kg)のリサイクル品を使ったコレクションを作る挑戦“81ポンドチャレンジ”という企画を実施しています。
そのユニークなコンセプトと環境保護への貢献というテーマに賛同した多くのファッションデザイナーが参加しています。
売れ残ったりリユースに適さない物は、発展途上国に送ったり工業用の原料として活用するリサイクルプログラムに回すことで、可能な限り廃棄物とならないように努力しています。
同社で扱う中古品は主に非営利団体である地域のチャリティーショップから買い取ることで調達しています。
米国では、主に中古品はチャリティーショップによって無料の寄付という形で回収されますが、そのうちの一部がそのまま販売され、残りはリサイクル業者に売却されます。
こうして得た利益は慈善事業に回されることになり、チャリティーショップの利用者は古着を持っていくだけでチャリティーと環境保護に貢献できます。
同社は自前で中古品を集めるのではなく、チャリティーショップのような非営利団体から買い取っているので、社会課題の解決にも貢献しているという意味でソーシャルビジネスの一つを担っているとも言えます。
米国では古着のようなテキスタイルの約15%がリサイクルされているだけで、残りの85%は埋め立てか焼却処分されており、環境を汚染し気候変動の一因となっています。
“もったいない精神”が自慢であるはずの日本ですらリサイクル率は2~3割ほどに留まっているのが現状です。
リサイクルされずに廃棄されるテキスタイルは何の約にも立たないだけでなく、無駄に環境を汚染するだけです。
古着のリサイクルはリユースのイメージが先行していて、使い古した汚い衣服が役に立つはずもなく、捨てる以外に方法がないと誤解している人が大多数です。
実は、衣類としてリユースできなくても、工業用のボロ布、家具やカーシートの一部、服や靴の裏地、合成皮革、枕やぬいぐるみの詰め物、断熱材などにリサイクルが可能で、他にも利用価値がいくらでもあるのです。
まだ開発中ではありますが、コストの面が解決されればバイオ燃料の原材料として活用する方法もあります。
テキスタイルの徹底したリサイクルは、新しい製品を作るための資源やエネルギー、輸送燃料、廃棄物を減らすことで二酸化炭素排出の削減に大いに貢献します。衣類の寿命を2倍にするだけで、排出される二酸化炭素を44%も削減するとの試算もある程です。
環境問題が顕著になっている今こそ、古着としての再利用だけでなく、それ以外の活用法があることをアピールしていく必要があります。
古着のリサイクル方法が広く知られるようになれば、中古品の回収が進んでリサイクル率は格段に向上し、持続可能な社会を目指す上で大きな一歩になるでしょう。
新しいトレンドを作り出しては毎年消費者に衣服を買い替えさせているアパレル業界には今、批判の目が向けられています。
これを受けてアパレル業界もリサイクルを積極的に行う姿勢を見せていて、同社が実施しているようなデザイナーがリサイクル品に付加価値を付ける“アップサイクリング”という取り組みも始まっています。
最近の消費者は安くて持続可能な選択肢を求める傾向にあり、アパレルのリセール市場は伸びていますが、これには最近の物価の高騰が続いていることも影響していると考えられます。
こうした最近の物価高、環境保護意識の高まり、中古品に対する抵抗感の減少、リユースに対する意識の変化などの要因が後押しとなり、テキスタイルのリサイクル事業は今後さらに拡大していくと予想されます。
会社ウェビサイト
www.savers.com
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