2021年9月末での、日本で利用できる米国小型成長株に投資する投資信託のパフォーマンス比較をしました。
要点は以下の通りです。
1)2021年9月は、インフレ懸念と米国連邦政府の債務上限問題により米国長期金利が上昇、さらに中国の恒大グループの破綻懸念もあり、株式市場は冴えない動きでした。小型成長株も、長期金利上昇は特にIT関連銘柄にはマイナスとなり、下落しました。
ベンチマークとなるラッセル2000グロースは、円建て-0.99%、ドル建ては-3.83%のリターンでした。
(円建ては、対象投資信託と同じく、前日の米国終値を月末の為替で評価して計算)
2)ラッセル2000グロースおよびラッセル2000をベンチマークとする投資信託は以下の3つです。
SBI:SBI米国小型成長株ファンド(グレートスモール)
BR:ブラックロック米国小型成長株式オープンAコース(為替ヘッジなし)
SMAM:三井住友DS-米国小型ハイクオリティファンド(資産成長型)
3)最近の動き
2021年9月はSBIがややプラス、ブラックロックとSMAMがややマイナスでした。過去6ヶ月では、SBIが堅調、過去1年ではSBIがアウトパフォームとなっています。
(円建てリターン) 2021年9月末
投資信託
(注1) |
過去1ケ月 | 過去6ヶ月 | 過去1年 | 過去3年 | 過去5年 |
(実数) | (実数) | (実数) | (年率) | (年率) | |
R2000G | -0.99% | 2.05% | 42.30% | 11.07% | 17.43% |
SBI | 0.09% | 6.25% | 46.75% | – | – |
BR | -0.93% | 2.20% | 42.01% | 11.86% | 18.19% |
SMAM | -1.28% | 4.54% | 38.45% | 11.99% | 15.94% |
R2000G:ラッセル2000グロース:ベンチマークです。
4)中長期的なパフォーマンス (過去3年・5年)
上記3つのファンドのベンチマークからの乖離をもとに比較すれば、SBIが圧倒的です。
尚、 SBI米国小型成長株は過去3年、5年のトラックレコードしかないため、実際の運用会社であるドリーハウス社の同じ運用戦略のリターンを使いました。
ドル建てリターン 2021年9月末
投資信託
(注) |
過去1年 | 過去3年 | 過去5年 |
(実数) | (年率) | (年率) | |
R2000G | 33.27% | 11.70% | 15.34% |
SBI-DH | 50.42% | 26.41% | 28.51% |
SBI-DH: Driehaus US Small Cap Growth Investor Class (DVSMX)
(注)手数料体系が国内籍ファンドと米国籍ファンドでは異なります。また、為替の影響もあるため、あくまで「長期的な傾向をつかむ」ための参考情報として見てください。
5)米国小型成長株ファンド VS SP500
ここ数週間の「米国成長株市場」のコメントでも述べていますが、2020年12月に米国小型成長株は、2013年から対主要株(SP500)の持ち合いを上に離れました。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年以来32%~38%の持ち合いが継続していましたが、2020年2月末では41%近くまで急上昇しています。3月にはいり利食いが入り、さらに4月~9月では長期金利上昇による市場の波乱により33~34%程度まで下落しています。(下のチャートは2021年10月1日までのチャート)
小型成長株はアクティブ運用が向いているのか、特定のファンドは強烈なパフォーマンスを長期間にわたってあげています。例えば、国内籍投信のリターン比較で取り上げているSBI米国小型成長株と同じ戦略であるドリーハウスの米国小型成長株は、SP500に対して、長期にわたって大幅なアウトパフォームをしています。
(参考情報:ドル建てリターン) 2021年9月末
投資信託
(注3) |
過去1年 | 過去3年 | 過去5年 | 過去10年 |
(実数) | (年率) | (年率) | (年率) | |
R2000G | 33.27% | 11.70% | 15.34% | 15.74% |
SBI-DH | 50.42% | 26.41% | 28.51% | 22.63% |
SP500 | 30.00% | 15.99% | 16.90% | 16.63% |
VSP500 | 29.98% | 15.96% | 16.86% | 16.60% |
SBI-DH: Driehaus US Small Cap Growth Investor Class (DVSMX)
(SBI米国小型成長株ファンドと同じファンドマネージャーが、同じ投資戦略で運用しているファンドです。)
VSP500 : Vanguard 500 Index Fund Investor Shares (VFINX)
(ヴァンガード社が米国で運用しているSP500のインデックスファンドです。)
データソースはこちら
→ SBIの米国小型成長株(グレートスモール)を運用しているドリーハウス社のウェブサイト
→ ヴァンガード社のウェブサイト
(参考情報)
→ SP500 VS ラッセル2000 この2年間
→ 過去の投資信託リターンデータ
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