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アメリカ成長株:カルナ・セラピューティクス(Karuna Therapeutics):抗精神病薬を開発

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アメリカ成長株:カルナ・セラピューティクス(Karuna Therapeutics)の概要

カルナ・セラピューティクス
Karuna Therapeutics Inc
ティッカーコード:KRTX
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/KRTX/annual

カルナ・セラピューティクス社は統合失調症とアルツハイマー病などの精神・神経疾患の症状を改善する抗精神病薬を開発しています。

統合失調症は世界で2100万人、米国で270万人の患者がいて100人に一人がかかるとも言われている精神障害で
・幻覚、幻聴、妄想
・思考の整理、表現が困難
・認知、記憶障害
・注意力、集中力の低下
・実行能力の低下
・人生を楽しめない
・不安、孤立
・モチベーションの欠如
などの症状があります。

アルツハイマー病は米国で推定800万人が患っていて認知症の主な原因(60~80%)となる神経変性疾患で
・思考、記憶、推論などの認知機能の喪失
・幻覚、妄想、パラノイア
・日常生活に支障が出る程度の行動能力の喪失
・徘徊、攻撃などの行動障害
などの症状があります。

どちらもアセチルコリンという神経伝達物質が十分に働かなくなるために引き起こされるという証拠が多数報告されています。

体内の情報伝達は神経細胞が介する電気信号によって行われますが、アセチルコリンは神経細胞の表面を伝わってきた電気信号が末端まで到達すると細胞の外に放出され、次の神経細胞の表面にある受容体に結合して電気信号を伝える重要な役割を果たしています。

なんらかの原因でアセチルコリンが減少したり機能しなくなると、うまく電気信号が伝わらなくなって様々な精神・神経障害を引き起こします。
この状態を改善する方法として、アセチルコリンと同じ機能を持つ薬剤を補充することで神経伝達を改善し、症状を和らげる薬の利用が1990年代から行われてきました。

しかし、電気信号が過剰に伝わることで唾液分泌、下痢、大量の発汗など末梢組織への強い副作用が出てしまうために使用中止となるケースが続出していました。

そこで同社はこうした副作用を抑えた画期的な抗精神病薬として“KarXT”を開発しました。
KarXTはアセチルコリンと同じ働きをすることで神経伝達を増強する“キサノメリン”と、逆に受容体に蓋をすることで過剰な電気信号を抑える“トロスピウム”という薬剤の混合薬です。

アクセルとブレーキを同時に踏むようにも見えますが、トロスピウムは末梢組織の受容体にだけ蓋をするように設計されているためキサノメリンの効果を邪魔することなく副作用だけを抑えられると期待されています。

現在臨床試験では統合失調症、アルツハイマー病の両方で第3相試験に入っていて、どちら場合においても有効性が確認され大きな副作用も見られず順調に推移しています。

従来の統合失調症の治療薬はドーパミンという神経伝達物質が過剰に働く結果であるという“ドーパミン仮説”に基づいたもので、ドーパミンの働きを抑えるタイプが主流でしたが、手足がふるえる、体がこわばる、正常に歩けなくなるなどパーキンソン病のような重い副作用があるため改善が求められていました。

キサノメリンはドーパミン系には作用しないのでこのような深刻な副作用が出ない点が画期的で、長期間安心して服用できる抗精神病薬として大きな期待を集めています。

多くの精神・神経疾患には神経伝達物質とその受容体が関わっていることが分かっていますが、統合失調症一つとってもその原因は完全には解明されておらず、現在進んでいる受容体の構造解析などの研究によって今後さらに有効性が高く副作用が小さい抗精神病薬が登場するかもしれません。

 会社ウェブサイト
www.karunatx.com

 

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