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アメリカ成長株: HCIグループ(HCI Group):先進的な損害保険会社

金融

アメリカ成長株:HCIグループ(HCI Group)の概要

HCIグループ
HCI Group Inc
ティッカーコード:HCI
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/HCI/performance

HCIグループは、様々な保険と不動産関連の事業を展開していますが、中心はフロリダ州での損害保険事業です。
“インシュアテック(保険テクノロジー)”と呼ばれる最近急速に成長している保険業界の技術革新によって、顧客のニーズに迅速に対応し、より効率的なサービスを提供しています。

インシュアテックは、日本語では“技術駆動型の保険業務”と訳され、最新のデジタルテクノロジーやデータ分析手法により、
・それまでにはなかったような新しい保険商品の設計やリスク分析
・契約条項のデータ化とプログラム処理による保険契約や保険請求の自動化
・モバイルアプリやウェブサイトを使った手続きのペーパーレス化
・ブロックチェーンやクラウドなどのIT技術によるサイバーセキュリティ対策
などを実現します。

損害保険部門は“TypTap”と“Exzeo”の2つの子会社によって運営されています。
TypTapは、フロリダ州で住宅保険と洪水保険を提供していますが、現在は全国展開を計画していて、すでに10州で規制承認を得ており、さらに9州で承認待ちとなっています。

Exzeoは、革新的なソフトウェア、複雑なアルゴリズム、独自の情報を組み合わせることでリスクを低減し、利益を最大化できる包括的な保険ソリューションとツールを提供します。

オンラインの保険契約管理プラットフォームの“SAMS”、クレーム管理プラットフォームの“ClaimColony”、地図上のデータ可視化プラットフォームの“AtlasViewer”などのウェブベースのアプリケーションやモバイルデバイス向け製品を通じてインシュアテックを推進しています。

同社はその他にも以下の事業を展開しています。
・不動産:
フロリダにあるオフィスビル、ショッピングセンター、レストラン、ウォーターフロントの土地、マリーナなどの不動産を所有および管理し、投資しています。
・施設運営:
海辺のマリーナ施設やレストランの運営も行っており、顧客に娯楽や飲食のサービスを提供することで収益を得ています。
・再保険:
大規模な災害で多数の保険請求が発生した場合に保険会社が引き受けたリスクを別の保険会社に分散させる“再保険”を提供します。

同社の本業は損害保険事業であり、フロリダ州を中心に展開しています。
フロリダは年間を通じて温暖な気候で過ごしやすく、退職者が老後を過ごしたり、寒冷地の人々が冬場に滞在する“避寒地”として人気があります。
観光業や不動産業を中心に経済成長していて多くの雇用を生み出しています。
また、交通インフラが整っていて中南米とのビジネス拠点となり、多くの人々を集める機能を果たしています。
こうした気候、経済、交通などの利点があり、フロリダ州の人口は増え続けていて2023年には人口増加率が全米で第一位となっています。

現在の米国は、FRBの金融引き締めによる高金利が続いていて、全米での住宅着工戸数は減少に転じているにもかかわらず、フロリダでは人口増加で住宅需要が増しています。
今後もこの異常な高金利の状態が長く続くとは考えられず、いずれ起きる金利の低下によって、さらに住宅建築には有利に働くことになり、住宅保険の需要もそれに追随することは間違いありません。

気候が良い反面、フロリダはハリケーンや洪水などの自然災害が多いことでも有名です。
昨年夏には、過去100年間で最強のハリケーン“イダリア”が上陸し、甚大な被害を及ぼしました。
毎年のように繰り返される自然災害によって、損害保険のニーズも高まっており、同社のような損害保険会社の重要性は増しています。
その反面、確実に自然災害による被害件数も増えており、保険会社にとっては保険金の支払いリスクも大きくなっているのも確かです。

そこで同社は大規模な災害の発生に備えて以下のような対策を取っています。
・個々の物件単位でリスク評価することで、自然災害の影響を受けやすい物件は保険契約対象外としている。
・自社内に子会社としてキャプティブ保険会社を作り、一部の再保険を引受け、残りを外部の再保険会社に移転することでリスクを分散している。
・キャプティブ保険会社の引き受けた再保険の資金は運用に回されて利益を最大化し、保険支払いに備えている。
・所有する不動産の地域を分散させることで、一度に大きな損失が発生するリスクを回避している。

最近、地球温暖化の影響と考えられるハリケーンや洪水による被害が大きくなっていて、自然災害に対する不安はフロリダ州だけでなく全国にも広まりつつあります。
人々の不安は保険業界には追い風となりますが、自然災害の増加は保険会社にとっても大きな課題となっています。
従来の統計データに基づくリスク評価が通用しないような事態も発生するようになり、未来のリスク評価が難しくなってきているのです。

このような状況は人工知能やビックデータを活用して、より精密で信頼性の高いリスク評価ができるインシュアテックへの期待を高めています。
インシュアテックは、過去のデータに頼るだけでなく、気候変動シナリオや先進的な気象予報モデルを取り入れた高度なリスク分析を可能にします。
同社にはインシュアテックの活用により、予測困難で不確実な現在の状況にも対応できる新しい保険商品の開発や適切な保険料の設定、災害時の対応と保険金の支払いの迅速化を実現していくことが期待されます。

会社ウェブサイト
www.hcigroup.com

 

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