アメリカ成長株: キャロン・ペトロリウム(Callon Petroleum) の概要
キャロン・ペトロリウム
Callon Petroleum Co
ティッカーコード:CPE
上場市場:NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CPE
ロシアによるウクライナ侵攻により、世界経済のブロック化が今後進む恐れがあります。特にロシアは地下資源を豊富に持つため、ロシアがグローバル経済から排除される(少なくとも距離をあけられる)ことから、西側世界の資源関係会社はフォローの風を受けます。
今回紹介するキャロン・ペトロリウム社は、テキサス州で原油・天然ガスの探査と掘削をしている会社です。テキサス州の3つの油田地域(西部のデラウェア、中部のミッドランド、南東部のイーグルフォード)で事業を行っています。デラウェア地区とミッドランド地区は、米国有数のシェール油田地域であるパーミアン盆地にあります。
同社は、メキシコ湾岸での油田開発のために1950年に創立された会社で、最初はルイジアナ州やアラバマ州の湾岸地域での油田開発に注力し、1995年に上場しました。その後、テキサス州のシェール油田開発が主要ビジネスになりました。
原油採掘会社のビジネスは、
・採掘コストと原油の市場価格の関係
・埋蔵量と生産量の関係
の2つの関係が、株価に影響を与えます。
原油価格が上がれば、利益があがります。しかし原油価格が高いから生産量を増やし過ぎると目先の利益があがる一方で、埋蔵量が減って資産の価値は下がります。このため、株価は短期的なメリットと長期的な企業価値との綱引きになります。
また、会社を維持するためには、「既にある油田の生産量を上げるための設備投資」「新しい油田の開発」「新しい油田候補地の採掘権(=鉱区権益)の購入」が必要となりますが、これらも原油価格およびその将来価値から大きな影響を受けます。
では、現時点でのキャロン社の状況はどのようなものでしょうか?
まず同社の状況を説明する前に、原油採掘会社分析のための基本的な用語を説明します。
・BOE (石油換算バレル:barrels of oil equivalent):天然ガスなど石油以外の資源は、石油に換算して表示します。
・埋蔵量
これにはいくつか種類があります。
まず、米国SECは、投資家向けの情報発信として「確認埋蔵量(Proved Reservation)」のみを認めています。確認埋蔵量とは「現在の経済状況及び操業条件下で、合理的に予想される埋蔵量」です。経済的状況は原油価格や採掘コストが、操業条件は採掘コストと採掘技術の影響を受けます。技術革新により、これまで埋蔵量となっていなかった資源が埋蔵量となることもあります。
確認埋蔵量は、「既存の施設」を利用して採掘できる「確認開発埋蔵量(Proved Developed Producing=PDP)と、「これから作る施設」を利用して埋蔵できる「確認未開発埋蔵量(Proved Undeveloped =PUD)」に分けられます。PUDをPDPにするためには、設備投資が必要です。
キャロン社の場合、
・2021年12月31日現在、確認埋蔵量=4億8460万BOE
開発ステージの内訳は、PDP=57%、PUD=43%、
製品の内訳は、石油=60%、天然ガス=20%、コンデンセート*=20%
(*コンデンセート=常温では液体状となっている天然ガス)
・PDPは、対前年比で29%増加
・現在の生産量を基準として、埋蔵量は1バレル45ドルの時に10年、45ドル<1バレル<50ドルで約15年
この10年とか15年という年数は、そのままでは評価しにくいのですが、競合他社との比較ではかなり長い期間持続できる水準となります。
中東産油田に比べて、シェール油田は「コストの高さ」が問題となります。このため、ある程度原油価格が高くないと経済的に成り立たないビジネスです。また、ウクライナ侵攻が始まる前は、脱炭素で化石燃料関係の企業は、新たな投資もしにくく、厳しい環境下にありました。
しかし、ウクライナ侵攻により原油価格は上昇し、「エネルギーを含む天然資源の国家安全保障上の重要性」も急速に増しています。もちろんウクライナ侵攻自体は短期的に終わる可能性もありますが、ウクライナ侵攻が残した「新たな国際秩序を見る視点」は長期に影響を与えます。
ドイツの国防費は、例えウクライナ侵攻が短期的に収束しても、中長期的に増加します。エネルギーのロシア依存を減少させるのも同様です。大手メジャーとは異なり、アメリカ産のシェール石油・天然ガスにだけに注力するキャロン社は、長期的な追い風が吹く可能性があります。
会社ウェブサイト
www.callon.com
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