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アメリカ成長株: センテッサ(Centessa):二重特異性抗体を使った抗体治療薬

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アメリカ成長株: センテッサ(Centessa Pharmaceuticals)の概要-7

センテッサ・ファーマシューティカルズ
Centessa Pharmaceuticals PLC
ティッカーコード:CNTA
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CNTA

 センテッサ・ファーマシューティカルズ社は、ガン、血友病、自己免疫疾患、高血圧、神経障害、遺伝病などの様々な疾患のための治療薬を開発する10の製薬企業を子会社として抱えています。
今回はこれらの子会社のうちのロックボディ(LockBody)社が開発するユニークな二重特異性抗体を使った抗体治療薬をピックアップして紹介します。

抗体は体外から侵入した細菌や異物などの抗原を排除する免疫反応に関わっていて、標的となる抗原に結合して動きを止めたり免疫細胞による攻撃を誘導したりする働きがあります。
同社が開発する二重特異性抗体は2つの別々の標的に結合できる抗体で、タンパク質工学の手法を使って人工的に作られます。

結合できるのが1つの標的だけの普通の抗体と違って、二重特異性抗体は異なる2つの標的に結合できるため新しい機能を持たせることが可能になります。

同社は二重特異性抗体によってガン細胞を自己の免疫細胞に攻撃させて治療することを目指しています。現在開発中の二重特異性抗体の一つであるLockBody CD47(LB1)の標的は“Her2”と“CD47”という、いずれもガン細胞の表面に存在するタンパク質です。

Her2はガン細胞の無秩序な増殖を促進するタンパク質で、ガン細胞に多く見つかるものです。
CD47は免疫細胞からの攻撃を避ける目印となるタンパク質で、自己の健常な細胞を守る役割があります。ところが厄介なことに、ガン細胞もCD47を持っていて免疫細胞の攻撃を回避するため無秩序な増殖を許してしまいます。

LB1はガン細胞のCD47に結合することで免疫細胞による攻撃回避をキャンセルします。
生体内で作られる普通の抗体はアルファベットの“Y”の形をしていて、上の二本の腕についている手で標的に結合します。

残りの一本には免疫細胞を呼ぶ役割があります。LB1は先端にある手でHer2に結合しますが、肘のあたりに別の手があってCD47に結合するように設計されていますこの第二の手は奥に隠れる形になっていて、このままではCD47には結合しません。

ガン細胞には健常な細胞よりも多くのHer2があるためLB1は最初に第一の手によってHer2に結合することでガン細胞に集まり免疫細胞を呼びます。すると、集まってきた免疫細胞が放出するタンパク質分解酵素によってLB1のHer2に結合している先端の手の部分だけが切り離されます。
これにより肘の部分にあった第二の手が露出してガン細胞のCD47に結合し、免疫回避をキャンセルすることで免疫細胞による本格的な攻撃を誘導します。

このように二段階で結合することが確実にガン細胞だけを免疫細胞に攻撃させる上で重要となります。
片方の手でHer2、もう一方でCD47を結合する二重特異性抗体を作った場合、ガン細胞だけでなく自己の細胞を守るためのCD47まで封印してしまうため副作用が大きくなってしまいます。
両方同時ではなく最初にHer2に結合するところが肝心で、同社のLB1抗体はその点でうまく工夫されています。

単純に2つの機能があるというのではなく、二段階に分けて機能を発揮できるというユニークな能力は幅広い分野に応用できる可能性を秘めていて今後の活用が期待されます。

会社ウェブサイト
www.centessa.com

 

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