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アメリカ成長株: ビーム・セラピューティクス(Beam Therapeutics):ゲノム編集技術による遺伝子疾患治療

ヘルスケア・バイオ

アメリカ成長株:ビーム・セラピューティクス(Beam Therapeutics)の概要

ビーム・セラピューティクス
Beam Therapeutics Inc
ティッカーコード:BEAM
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/BEAM

遺伝子はDNA上に書かれているタンパク質の設計図で、何らかの原因で遺伝子に変異が起こると異常なタンパク質が作られて体に不具合を引き起こします。

治療法としては異常なタンパク質の働きを抑える薬を使ったり正常なタンパク質を外から加えたりしますが、ずっと続けなければならず根本治療にはなりません。
根本的に治すためには遺伝子の変異を修正する必要があります。

そこで最近は“クリスパーキャスナイン”と呼ばれるDNA切断酵素を使ったゲノム編集技術を使って遺伝子を切り貼りする治療法が開発されています。設計図の段階で編集・修正してしまうので、それ以降は正常なタンパク質が作られ続けることになります。

クリスパーキャスナインは遺伝子上の狙った部分を切断できますが、ごくまれに意図しない部分を切ってしまうことがあり、想定外の副作用が起きる場合があります。
遺伝子には大切な設計図が書かれているためDNAの切断は危険を伴うのです。

これに対し今回紹介するビーム・セラピューティクス社は、遺伝子の変異部分を切り貼りせずに書き換えることができる“ベースエディター”というツールを使って修正します。

クリスパーキャスナインには狙った遺伝子を掴む“手”の部位とDNAを切断する“ハサミ”の部位があるのですが、ベースエディターはこの“ハサミ”を“消しゴムと鉛筆”に付け替えたものでDNAを切断せずに書き換えることができます。

変異を修正したDNAを細胞に導入する手段として同社は以下の3つの方法を対象の臓器によって使い分けています。

・エレクトロポレーション(電気穿孔法):血球、免疫細胞
電気パルスで細胞膜に穴を開けて導入する。

・LNP(脂質ナノ粒子):肝臓
細胞膜を模したカプセル状の粒子に入れて細胞と融合させ細胞内に導入する。
新型コロナウイルスのメッセンジャーRNAワクチンにも使われた技術。

・AAV(アデノウイルス):目、中枢神経系
宿主のゲノムに自己の遺伝子を挿入するウイルスを利用して導入する。

現在、鎌状赤血球貧血症、白血病、アンチトリプシン欠損症、グリコーゲン貯蔵障害などの遺伝子異常が引き起こす病気の根本治療を目指していて前臨床試験の段階にあります。

遺伝子治療には30年の歴史があり世界では14の製品が承認されていますが(2020年現在)、従来の方法は正しい遺伝子を付け足すだけで変異した遺伝子をそのまま残してしまうため異常なタンパク質が作られ続けてしまうという不完全なものでした。

クリスパーキャスナインやベースエディターを使ったゲノム編集は異常な遺伝子を完全に削除もしくは書き換えることができるという点で大きく進歩しています。

ゲノム編集による治療法の開発はまだ始まったばかりですが、従来の方法より安全で効果が高いことに間違いはなく、遺伝子治療の普及に大きく貢献していくでしょう。

会社ウェブサイト
www.beamtx.com

 

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