2022年7月8日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1098.03で終わりました。一週間前に比べ28.16ポイントの反発(+3.86%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.77%)やSP500(前週末比+1.94%)を上回る上昇率でした。
景気後退懸念から?原油価格の上昇が止まり、穀物や非鉄金属は急落しました。半導体市場も急変し、過剰供給リスクが出てきました。また、消費者のセンチメントは最悪です。一方で、雇用統計は予想外に強いものでした。
リセッションが来るのか?それとも景気は予想外に底堅いのか?
ベストシナリオは、コモディティや半導体は、仮需が剥げてインフレはピークアウトするものの、労働市場は堅調で、景気はあまり悪くならない。
ワーストシナリオは、コモディティ市場や半導体市場は今後の需要急減を予測しており、センチメントの悪化で消費も急減、これから強烈な景気後退が来る。
今週の株式市場は、売られ過ぎの反動高という感じでしたが、この流れが続くのか?
それとも、再び下落トレンドに戻るのか?
私は、景気の実態はあまり悪くなく、センチメントだけが異常に悪化していると思っております。非常に割安な小型成長株は、絶対的にも相対的にも非常に魅力的な買い場であると思っています。(そう言い続けて3ヶ月近くになります。かなり買えました)
<ウクライナ侵攻>
西部戦線はロシアが優勢ですが、南部戦線ではウクライナが反撃に転じるとの報道がありました。
ウクライナの反撃は、欧米からの武器がやっと配備されたことが、背景と言われています。
本当なのか?それとも、士気を鼓舞するためのプロパガンダなのか?
もしこれで、ウクライナの反撃に成功しなければ、この戦争は終わりが近づきます。
逆に本格的な反撃が成功すれば、民主主義を支持する立場からは嬉しいことです。
しかし、人の生命を重視する立場からは、混迷の度合いがあがる心配をしなければなりません。
戦争がエスカレートするからです。
<バイデン政権とインフレ>
2022年6月20日のコメントで、中間選挙を意識して追いつめられるバイデン政権が、インフレを止めるために何をするのか?の候補を書きました。
・脱炭素の旗を(少なくとも短期的にはおろして)、化石燃料の生産量・供給量(=パイプライン等)を増加させる
・過剰な財政拡大を抑制する
・(外交の舞台で)人権問題に目をつむる
・ロシア敵視の方針を撤回する
まず、バイデン大統領が出すカードは、「(外交の舞台で)人権問題に目をつむる」でした。これまで厳しく批判してきたサウジアラビアの皇太子(ムハンマド・ビン・サルマン皇太子、通称MBS)との会談をします。このことは人権問題を前面にだす身内の民主党内から強い反対を受けています。しかし、どうしてもサウジアラビアによる原油増産が必要であり、大きな方針転換になります。
本当にMBSは好意的な行動(=石油価格が大きく下がるほどの大幅増産)を取ってくれるのでしょうか?MBSがカショギ氏の件でG20で孤立したときに、救いの手を差し伸べたのがプーチン氏でした。バイデン大統領がサウジアラビアで何を言うのか?そしてMBSはどんな対応を取るのか?非常に興味のあるところです。
そして、もしインフレ低下に十分な影響が無かったら、次はどのカードを切るのでしょうか?
もっとも方針転換してMBSと会談するバイデン氏には申し訳ありませんが、もしかしたら、コモディティー市場が暴落しているので、原油も自律的に下落するかもしれませんが・・・
<仮想通貨市場>
ビットコインは、底割れを何とかとどまっている、という状況です。
しかし、マイニング銘柄などビットコイン関連銘柄の一部は、今週にはいり強烈な反発をしています。こちらは、市場の潮目が変わりつつあるようです。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年7月8日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1098.03/3899.38=28.16%
26週移動平均との乖離は-0.03%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
この3ヶ月ほど、27%程度の水準で横ばいを続けていました。しかし、今週「こつんと来た」という感じです。小型成長株の冬(主力株への相対的な負け季節)は終わりを告げたのか?
26週移動平均を上回りそうな感じとなり、かなり期待をさせる状況となってきました。
→ 2020年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年5月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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