2022年5月20日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1071.10で終わりました。一週間前に比べ15.68ポイントの続落(-1.44%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-3.05%)やSP500(前週末比-2.90%)と比べ、やや少ない下落となっています。
先週までの急落は金融引き締め自体が材料でしたが、今週は小売りのターゲット社の決算が予想以上に悪く、企業業績に対する不安感が一気に噴出しました。
しかし、小型成長株の「負け」は少し変化の兆しがあります。NYダウは、週末の水準、週の最安値ともに、一週間前より下にありますが、小型成長株は、週の安値では今週の方がかなり上にあります。
小型成長株は2022年1月に強烈な「負け」を喫した後、主力株に対して冴えない動きが続いていましたが、さすがに割安感が出てきたのでは?と期待させる動きとなっています。
<ウクライナ侵攻>
今週、マリウポリが陥落しました。しかし、ハリコフ周辺ではウクライナが大きくロシア軍を押し返しました。全体として戦線は膠着しています。
ロシアは戦線の膠着(予想外の苦戦)や経済状況の悪化により、戦争継続能力が低下しているのでは?との観測が出ています。一方、ウクライナの戦闘意欲は非常に強く、西側先進国からの兵器・資金サポートも一向に衰えません。このまま行けば、そして時間をかければ、ウクライナがロシアを完全に押しかえる日がくるのでは?という期待も起こっています。
しかし、ここにきて心配なことも出てきました。一つはバイデン政権の不人気、もう一つは途上国の食糧危機です。
バイデン政権の不人気の原因ははっきりしています。インフレです。米国内のインフレの大きな原因は原油価格ですが、ウクライナでの戦争が続く間は原油価格は下がりません。現在は中国のロックダウンがあるからまだこの程度で済んでいますが、ロックダウンが終われば、もう一段あがるリスクがあります。残念ながら供給力のあるサウジは、皇太子がプーチン好き、バイデン嫌いで有名で、助け舟を出してくれそうにありません。
バイデン政権・民主党は中間選挙まで半年となり、早めにウクライナ戦争を終わって欲しい、と願っているはずです。
食料危機は、もっと時間がありません。ウクライナとロシアは、食糧や肥料の大生産国で、ウクライナ戦争は、悲劇的な食糧不足を起こしつつあります。国連によれば4700万人に飢餓のリスクがあるとのことです。食料の場合は、資金援助をしても「量」が足りなければ、飢え死にしてしまいます。国際社会が、「とにかく(どんな形であっても)早めに戦争を終らせる必要がある」という世論になる可能性があります。
戦闘だけ見ていると、時間はウクライナの見方のように感じます。しかし、外部環境からはロシアの見方になる可能性もあります。
時間をかければウクライナが勝てる(のでは?)、しかし、外部環境がウクライナに時間を与えてくれるのか?ウクライナにとっては極めて不本意な形で、戦争が終わってしまうのでは? と心配しています。
<小型成長株の押し目買い>
引き続き、毎日少しずつグレートスモールを買っています。先述したように、小型成長株はさほど下げておらず、現時点では安定して買いポジションが取れている、という感じです。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年5月20日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1071.10/3901.36=27.45%
26週移動平均との乖離は-1.76%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
現在の水準は、2020年のコロナの最悪期をも超え、リーマンショック以来の歴史的な割安水準になっています。相対的には歴史的な買い場となっており、非常に魅力的な投資機会を提供していると思っています。
→ 2019年10月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年4月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
コメント