アメリカ成長企業

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アメリカ成長株市場の動き-2022-04-22

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アメリカ成長株

2022年4月22日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1191.57で終わりました。一週間前に比べ54.45ポイントの大幅続落(-4.37%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-1.86%)やSP500(前週末比-2.75%)に比べても、非常に大きな下落でした。

週の前半は、好調な企業決算を反映し堅調な市場でしたが、木曜日・金曜日とFRBの金融政策が予想よりタカ派になるとの見方が広がり、一気に急落しました。小型成長株は全体としては金利高の悪影響を(主力インデックスに比べて相対的に)受けやすいため、週の後半にかけて大きく値を下げる動きとなりました。

<追いつめられるFRB、よりタカ派に>
低い支持率に苦しむバイデン政権は、インフレの原因をプーチン氏に、インフレ抑制できない責任をFRBに、責任転嫁したいようです。

そもそも原油価格・天然ガス価格が強いのは、バイデン政権の打ち出した政策の副作用の一面もあります。

まず、供給サイドですが2021年1月20日、就任直後のバイデン大統領は、カナダの油田とアメリカのメキシコ湾岸の製油所をつなぐパイプラインである、「キーストーンXL」の建設認可を取り消しました。2021年1月27日には、「連邦政府の管理地における新たな石油・ガス開発を規制」しました。新しい油田・ガス田の開発はしにくくし、パイプラインの整備も規制しました。

皮肉なことに、アメリカ大陸ではパイプライン整備を制限したのに、ヨーロッパ大陸ではロシア→ドイツのパイプライン「ノルド・ストリーム2」を後押ししています、2021年5月19日に、それまでトランプ政権がかけていた経済制裁を排除して、建造を後押ししました。ドイツのロシア傾斜を後押ししていたことになります。

このような供給サイド(あるいは将来の供給制約を設定)を絞ったところに、コロナによるグローバルなサプライチェーンの混乱がありました。

一方で需要サイドは、コロナ禍の経済再開による需要回復があるのに、バイデン政権のバラマキ的な財政政策によって、不必要なアクセルを吹かせた可能性があります。

原油価格(NYマーカンタイル)は、バイデン大統領が当選した2020年11月末で46ドル、就任の2021年1月末57ドル、ロシア侵攻前の2022年1月中旬で87ドルです。既にウクライナ侵攻前時点で、バイデン氏当選から倍近くになっていました。

一方、FRBも負い目があります。FRBのパウエル議長は3月17日の会見では、「インフレは一時的」と言っています。しかしインフレは、その後も落ち着いていないため、FRBとしては「判断を誤ったか?」と批判されるリスクをヘッジしたい衝動があります。

中間選挙が近づく中で、バイデン政権の失政(少なくともインフレについては)への批判を交わすためには、「全て悪いことの原因はロシア」「インフレを抑え込めないのはFRBの責任」にするのが一番効果的です。追い込まれたFRBがよりタカ派になることが心配されます。

<ウクライナ情勢について>
4月2日のコメントで書いたように、既に米国株式市場、特に成長株にとっては、ウクライナ侵攻はルーティン化しています。米国企業業績とFRBの金融政策で市場の動きは決まっています。

しかし、今後の世界情勢、投資環境全体に大きな影響を与えるので、今週もウクライナ情勢についてコメントを書きます。

今週はロシアが一方的に「マリウポリ陥落」を宣言しました。焦点は、(前時代的なネーミングですが)「ドンバスの戦い」に移っています。

既に世界は、西側諸国、ロシア親派、中立を保ちたい途上国、に三分割されています。中国をロシア親派に含めると、人口では世界が1/3ずつに分かれたことになります。

2022年3月6日のコメントでは、以下の2つのシナリオを想定しました

1)良いシナリオの例
「厳しい経済政策によってプーチン政権が弱体し、ウクライナを結局コントロールできないまま撤退する。
中国は台湾侵攻のリスクの大きさを理解し、民主主義勢力はより安定した国際秩序を獲得する。またロシアを助けたことで、中国に対する世界的な信頼はさらに悪化し、中国の影響力は低下する。
ロシアが撤退することで原油・天然ガス価格は下落する。脱炭素も従来のスケジュールに沿って進展する。
欧州のNATO加盟国は国防費を積み増しし、米軍基地の拡充や設置を希望する。結果的に米国の覇権はさらに安定する。」

2)悪いシナリオの例
「ロシア経済は中国とインドとの取引継続で、厳しいながらも持ち堪える。
欧州も日本も米国も、ロシアの原油と天然ガスの輸入をゼロに出来ず、SWIFT排除は中途半端な状況が続く。ウクライナでの戦争はゲリラ戦となり、ウクライナの国土の荒廃が一段と進む。
ロシアの多くの銀行をSWIFTから排除した事で、中国の国際決済システムであるCIPSの利用拡大に弾みがつく。ロシアのみならず西側に経済制裁されそうな独裁国家・強権国家・軍事政権が、ロシアの窮状を見て、保険としてのCIPS利用が広がる。
原油価格は高止まりし、中東産油国の発言力も増す。サウジの皇太子など、独裁的指導者が、国際政治への影響力を回復する。
欧米では、脱炭素と国家安全保障とのトレードオフ関係に焦点が当たり、脱炭素は後退する。
米国及び米ドルの覇権が揺らぎ、国際秩序は大きく不安定化する」

侵攻後2か月した現状をみると、残念ながら悪いシナリオに含まれる項目が多いような気がします。

ドンバスの戦いは、第二次大戦のミッドウェイ、エル・アラメイン、スターリングラードのように、戦争全体の転換点になるのでしょうか?ドンバスでウクライナが持ちこたえ、ロシアはウクライナから排除される。やけくそになったロシアが核攻撃できないように、米国とNATOも核攻撃を辞さない圧力をかける・・・

株式市場の勝ち負けを超えて、我々(西側諸国で生活する全ての市民)の将来に影響を与える数週間が始まります。戦場以外では、フランス大統領選挙があります。マクロン氏が圧倒的な得票率で勝ってくれないと、西側の結束が乱れます。こちらも注意してみる必要があります。

<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年4月22日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1191.57/4271.78=27.89%
26週移動平均との乖離は-2.43%でした。

ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。

現在の水準は、2020年のコロナの最悪期をも超える、歴史的な割安水準になっています。相対的には歴史的な買い場となっており、非常に魅力的な投資機会を提供していると思っています。

→ 2019年10月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年3月末時点)

(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)

 

 

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