アメリカ成長株:ライべント(Livent Corp)の概要
ライべント
Livent Corp
ティッカーコード:LTHM
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/LTHM
昔はバッテリーといえばラジオや懐中電灯に入っている乾電池くらいでそれほど重要な位置を占めるものではありませんでしたが、今はバッテリーなしでは生活が成り立たないほど日常生活にも浸透しています。
スマートフォン、ノートパソコン、電動アシスト自転車、電気自動車などの身近なものからドローン、鉄道、電力供給、宇宙ステーションまでありとあらゆるものにバッテリーが使われています。
ここまで広く利用されるようになったのにはリチウムイオン電池の登場が大きく関わっています。
リチウムイオン電池はこれまで使われていたニッケルカドミウムやニッケル水素電池と比べて格段に電気容量が大きいため実現できることが飛躍的に増えたためです。
その貢献度の大きさからリチウムイオン電池を開発した日本人研究者が2019年にノーベル化学賞を受賞しています。
今回紹介するライべント社は主にリチウムを使った素材や医薬品を製造・販売していますが、特に力を入れているのがリチウムイオン電池に関わる分野です。
主力製品はリチウムイオン電池の製造に使われる高純度のリチウム化合物です。
これはバッテリーのエネルギー密度を高め電気容量を大きくするために役立つもので高性能のリチウムイオン電池には欠かせないものです。
様々な場面で活躍しているリチウムイオン電池ですが、電気容量、充電時間、充電・放電ロス、寿命、安全性、価格などに改善点があることも事実です。
最近普及が進んで来た電気自動車に搭載されているリチウムイオン電池も、充電に時間がかかる、劣化して走行距離が短くなる、置いておくだけで減るなどの欠点も明らかになってきました。
しかし、頼りにされているだけに不満も出てきていて改善を望む声も大きくなっています。
この要望に答えようと新しいバッテリーの開発が盛んになっていますが、なかなかリチウムイオン電池を超えるようなものが出てきていません。
現在のところ全く新しい電池を開発するよりもリチウムイオン電池の欠点を補う方が現実的で手っ取り早いと考えられています。
同社もこの流れに乗る形でリチウムイオン電池を更に進化させるためにリチウムエネルギー先端研究センターを設立し、顧客との共同研究を積極的に行っています。
同社の製品の一つであるLIOVIXは電極にリチウムを吹き付けるプリンターのインクのようなもので、精密でコンパクトな構造のバッテリー製造を可能にしてバッテリーセルの集積化とコストダウンに貢献します。
先程挙げたリチウムイオン電池の弱点の多くは、電解質に液体を使っていることが原因です。
リチウムイオン電池の電解質には可燃性の溶媒が使われているため突然発火して火災や火傷を引き起こすこともあります。
そこで、リチウムイオン電池に代わる次世代の電池として将来期待されているのが全固体電池です。
液体を使わないため大容量、小型、長寿命で温度変化に強く高速充電ができるとされています。同社のLIOVIXも全固体電池の製造で必要となるプリント技術に使われるものです。
既存のリチウムイオン電池は多くの問題点を抱えているため、今後一気に全固体電池のような新しいバッテリーに置き換わる可能性もあります。
しかし、同社は電池そのものの開発・製造に関わっているわけではないので、今後どのような展開になろうとプラットフォーマーのような有利な立ち位置で事業展開できることになるでしょう。
会社ウェブサイト
www.livent.com
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