アメリカ成長株:ハロザイム・セラピューティクス(Halozyme Therapeutics)のアップデート
ハロザイム・セラピューティクス
Halozyme Therapeutics Inc
ティッカーコード:HALO
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/HALO
ハロザイム・セラピューティクスについては、以前一度紹介しました。下記のページも参照ください → ハロザイム・セラピューティクスの概要
昨年始まった新型コロナウイルスの流行は未だに収束を見せず様々な分野に影響が及んでいますが、特に大きな影響を受けているのが医療現場です。コロナ対応で追われる病院では通常の治療までが困難になり、病院中心だった治療を見直せざるを得なくなりました。
病院に入院・通院する人々は健常者に比べてウイルス感染に弱く、重症化・死亡のリスクが高いことは言うまでもありません。病院は不特定多数の人間が出入りする感染のリスクが高い場所であるのにもかかわらず、感染を最も避けるべき人々が集まるという矛盾が生じてしまっています。この現状を放置すれば、入院を必要とするような重傷者が急増して医療崩壊を招きかねません。
そこでFDA(アメリカ食品医薬品局)はコロナ対策の一環として、在宅医療を促進し、入院・通院する患者を極力減らす方向へ転換しています。そんな中で追い風を受けているのが以前紹介したハロザイム・セラピューティクス社です。
→ ハロザイム・セラピューティクスの概要
同社が開発した“Phesgo”は、乳ガン治療のためのペルツズマブ、トラスツズマブという2つの分子標的薬とヒアルロニダーゼを組み合わせた配合皮下注射製剤です。ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸を分解する酵素で、これを加えることで注射した部位のヒアルロン酸を分解します。
ヒアルロン酸は、細胞間に存在していて、保湿やクッションの役割を果たしていますが、皮下注射の際には組織への浸透を妨げるバリアになってしまうため点滴によって長時間かけて少しずつ浸透させる必要があります。Phesgoにはこのバリアを分解するヒアルロニダーゼが配合されているので少ない液量、短時間で済む皮下注射が可能になります。
皮下注射は有資格者によって自宅で受けることができるので、患者は通院の必要がなくなり病院での感染リスクから開放されます。コロナ禍では入院・通院から在宅医療へのシフトが、利便性を高めるということ以上に感染を防ぐという重要な意味を持つようになっています。
Phesgoはロシュ社とのコラボによるものですが、この他にも他社とコラボしたヒアルロニダーゼ配合薬のいくつかがすでに承認されていて、これに続いて次の治験が次々と始まっています。
・承認済み
ヤンセン(多発性骨髄腫)、ロシュ(乳ガンなど)、バクサルタ社(免疫不全症)
・治験中
ロシュ、ファイザー、ヤンセン、アッヴィ、イーライリリー、ブリストルマイヤーズスクイブ、アレクシオン、アルジェニクス社
FDAの方針もあり、同社の事業はコロナの流行によって明らかに追い風を受けています。急激な成長は見込めないかもしれませんが確実に在宅医療の重要性は増しており、同社が提供するような“医療の在宅化”を後押しする技術のニーズは長期的に上昇していくことになるでしょう。
会社ウェブサイト
www.halozyme.com
コメント