2020年11月20日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1299.57で終わりました。一週間前に比べて、26.57ポイントの続伸(+2.09%)でした。一方、主要インデックスのNYダウ(前週末比-0.73%)やSP500(前週末比-0.77%)は横這いでした。
株式市場全体では、ワクチン開発の進展というプラス材料と、新規感染者急増というマイナス材料が釣り合っています。一方で、小型成長株は、バイデン氏の出す景気刺激策への期待から、大統領戦後継続している、「小型成長株優勢」が続いています。
<ワクチンとコロナ>
欧米の新規感染者の急増は継続していますが、一方でワクチン開発も最終局面にあります。ファイザーはFDAに緊急承認を申請しました。このため、株式市場は「プラス材料とマイナス材料」が中和している状態です。
<大統領選挙と波乱材料>
むしろ、今後の株式市場を揺らす可能性があるのは、トランプ政権の政策、かもしれません。
トランプ大統領は引き続き敗戦を認めていませんが、既に社会・市場はバイデン氏の勝利を受け入れています。問題は、トランプ氏の「焦土作戦」です。
トランプ大統領が逆転勝利になる可能性は、日を追って少なくなっています。このため、2024年に向けた布石、あるいはバイデン氏による政策変更への妨害?と思われるような政策が目立ちます。具体的には
・極端な外交政策
・金融緩和政策の変更
です。ともに、「株式市場にショックを与える可能性」があります。
<極端な外交政策:対中国の強硬政策への懸念>
「アフガニスタンとイラクの米軍の削減」「ポンペイオ国務長官のヨルダン西岸とゴラン高原訪問」さらに「イランの核施設攻撃の可能性」など、バイデン氏になっても「簡単に中東政策を変えられないように、強烈な布石を打って置く」という感じです。
しかし、中東の問題は株式市場にショックを与えるような材料にはなりにくいと思っています。これは、すでに米国が中東の原油に依存していないからです。心配は、トランプ政権の焦点が「中国・香港」に向かった時です。
大統領選の期間、中国への攻撃は「香港やウィグルに絡む要人をブラックリストに入れる」「アプリの米国内での利用制限をする」「ファーウェイの使用制限を他国に働きかける」等でした。全て中国への影響は限られるものの、米国の株式市場への影響がほとんどない政策です。
しかし、現在のトランプ政権にとって株式の下落を懸念する必要はありません。米国の株式市場への悪影響があっても、さらに強烈な影響を持つ攻撃をする可能性があります。例えば、中国・香港の金融機関への強烈な打撃を与える政策、あるいは中国の輸出に対する攻撃です。
<金融政策の変更>
米国財務省がFRBに対して「コロナ対策で行っている緊急流動性提供の一部を、予定通り2020年の年末に終了させるように」要請しました。財務省は、「使われていない資金が多いので、もっと効果的な方法に使うため」、としています。
しかし、ジャブジャブな流動性供給が、現在の米国株式市場を支えてきたことは明白です。この「異常な流動性供給」が少しでも「正常化」したときのマイナスはどの程度になるのか、懸念されます。
「中国への強硬な政策」と「金融政策の正常化」はともに、株式市場にショックを与えるリスクがあります。しかし、バイデン政権になったとたんに、リカバリーする政策を打つので、「長期的には中和される」と思われます。このため、もしショックがあった場合には、良い投資機会を提供するとも考えられます。
<米国の小型成長株の割安について>
11月20日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1299.57/3557.54=36.53%
26週移動平均との乖離は、+2.65%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、長期的に32%~38%のレンジで推移していました。
短期的には割高、長期的には中立となっています。
→ 2019年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2020年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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