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アメリカ成長株: トリリウム・セラピューティクス(Trillium Therapeutics):チェックポイント阻害の抗がん剤の開発

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アメリカ成長株: トリリウム・セラピューティクス(Trillium Therapeutics)の概要

トリリウム・セラピューティクス
Trillium Therapeutics Inc
ティッカーコード:TRIL
上場市場:NASDAQ Small Cap

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/TRIL

ガン免疫治療は人が持っている免疫を利用してガン細胞を叩く方法です。従来の抗ガン剤がガン細胞を直接攻撃するのに対して、免疫を介して間接的に攻撃するという点で異なっています。

免疫で主な働きをするのが血液中を巡回している白血球であり、異物を見つけると食べて消化することで排除します。もちろん赤血球や血小板などの自己の細胞までが白血球に食べられては大変ですから異物と区別する方法があります。

その一つが、細胞の表面に「食べないで!」というタンパク質の“張り紙”を出す方法で、白血球はこれを認識して自己の細胞を間違って食べないようにしています。

ところが厄介なことに本来排除すべきガン細胞までもが「食べないで!」の張り紙を出すことがあり、こうなると白血球に食べられることなく見過ごされ、ガンの増殖を許してしまうことになります。

このガン細胞の「食べないで!」という張り紙の上から封をしてしまうのが、ガン免疫治療の一つである“チェックポイント阻害剤”です。

この張り紙は、敵か味方かをチェックするポイントとなるため“チェックポイント分子”、これを阻害する薬剤のことを“チェックポイント阻害剤”と呼んでいます。少し前に話題になった“オプジーボ”もチェックポイント阻害剤であり、白血球の一種である“T細胞”にガン細胞を攻撃させるタイプのものです。

従来はオプジーボのようなT細胞を利用したタイプが主流でしたが、最近ではマクロファージ(白血球の一種)にガン細胞を食べさせる方法も出てきていて、昨年の7月に小野薬品と米Forty Seven社がこの方法を使ったチェックポイント阻害剤の開発でライセンス契約を結んでいます。

今回紹介するトリリウム・セラピューティクス社が開発するチェックポイント阻害剤もこのタイプであり、現在TTI-621とTTI-622の2つが臨床試験の初期段階にあります。

従来のチェックポイント阻害剤は、ガン細胞の「食べないで!」の張り紙に封をするだけなのに対して同社のものは、封の上にさらに「食べて!」という張り紙も付けてしまうためガン細胞がより積極的にマクロファージによって食べられやすくなります。

しかしこれでは自己の細胞が出している「食べないで!」の張り紙も封じられてしまって、ガン細胞と一緒に自己の細胞まで食べられてしまうのではないのか?という疑問が湧いてきます。

調べてみると、やはり従来のT細胞を利用するタイプでは副作用が避けられず、皮膚、消化管、肝臓、肺、腎臓、神経、筋、目、内分泌器などの幅広い臓器がT細胞の攻撃によるダメージを受けるようです。

マクロファージを利用するタイプでも副作用はありますが、貧血という比較的コントロールしやすい軽い症状に限定されるようです。

同社のチェックポイント阻害剤の副作用は更に小さく抑えられていて、これはガン細胞と自己の細胞が出している「食べないで!」の張り紙を区別できるためです。

ガン細胞の張り紙だけを「食べて!」に変え、自己の細胞の張り紙はそのままにしておくことができるのです。

同社が開発するチェックポイント阻害剤の特徴をまとめると
・「食べないで!」を「食べて!」に張り替えることでガン細胞を効率的に排除できる
・自己の細胞の「食べないで!」はそのままにしておくため副作用が小さい
ということになります。

ガン免疫治療の「自分の持っている免疫を利用する」という売り文句を聞くと、自分の力で自然治癒してしまうようなイメージを抱きがちですが、現実はそう甘くはありません。

副作用が全くないというのが理想ではありますがそのような夢の治療薬は今のところ存在しないので、より効率的にガン細胞を叩き、より副作用を抑えられる治療薬を模索していくしかないようです。

考えてみればガン細胞も元々は自己の細胞であるわけで、ガン細胞と正常細胞を区別するのは非常に難しく、副作用のない治療薬を作るのが困難な厄介な病気であることを再認識させられます。

会社ウェブサイト
www.trilliumtherapeutics.com

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