アメリカ成長株: マイオカーディア(MyoKardia)の情報アップデート
マイオカーディア
MyoKardia Inc
ティッカーコード:MYOK
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク:
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/MYOK
マイオカーディア社については、以前一度紹介しました。下記のページも参照ください → マイオカーディア(MyoKardia)の概要
肥大型心筋症の新薬である“マバカムテン”を開発し臨床試験を進めていたマイオカーディア社を昨年の9月にご紹介しましたが、この1年2ヶ月の間に同社の株価が二度にわたって急騰し、前回から約4倍にまで上昇しました。
一度目の急騰はマバカムテンの臨床試験の最終段階が大きな成果をもって終了したと発表された今年の5月で、二度目は今年の10月に米製薬大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社によって131億ドル(約1兆4000億円)で同社が買収されたというニュースが発表された直後です。
有力視されていた新薬が臨床試験の段階で看過できないレベルの副作用がでたり明確な効果が認められなかったりして脱落するのも珍しくないため、マバカムテンの臨床試験が無事に終了したことは同社が現在試験中の類似の低分子薬への期待も高める結果となりました。
肥大型心筋症は主に遺伝的要因から心臓の筋肉が過剰に収縮してしまうことで引き起こされますが、マバカムテンはこの過収縮を抑えることができます。
通常このような心不全にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬やベータ遮断薬が使われるのですが、全身の筋肉に作用するという副作用があり肥大型心筋症のための有効な治療薬が今まで存在していませんでした。
マバカムテンは選択的に心臓の筋肉に効くように設計されているため、そういった副作用は報告されていません。臨床実験が成功するや否や大手製薬会社が飛びついたことからしても、この新薬がいかに画期的であり待望されていたかが分かります。
現在同社は次の新薬候補である“ダニカムチブ”の臨床試験を進めていますが、これは以前“MYK-491”という開発コードで呼んでいたものを一般名に昇格させたものです。マバカムテンが心臓の筋肉の過剰な収縮を抑えるのに対して、ダニカムチブは逆に活性化させて収縮を促す作用があり拡張型心筋症と収縮期心不全に有効です。
同社は“バイオ医薬品企業”と紹介されていることが多いようですが、マバカムテンやダニカムチブは製造・コスト・保存・投薬の面で有利な低分子薬であり、抗体などのタンパク質が成分であるバイオ医薬品とは異なります。
一般的にはターゲットを絞ることができるバイオ医薬品と比べて副作用が大きいとされている低分子薬ですが、同社の開発薬は低分子薬でありながらバイオ医薬品のような選択性があるために副作用も小さく、両者のいいとこ取りをしていると言えます。
医薬品開発業界では低分子薬からバイオ医薬品にシフトしつつありますが、バイオ医薬品には医療費が高額になるという欠点があります。
日本でもガン治療薬の“オプジーボ”の目が飛び出るような価格が問題になりましたが、マバカムテンのような副作用が小さくかつ費用も安い低分子薬の成功は今のバイオ医薬品に流れがちな風潮に一石を投じたのではないでしょうか。
米国には、これからも数多くの新規かつ小型株にカテゴリーされるバイオ銘柄がでてきます。今回のマイオカーディア社は、「新しい分野に新しいアプローチで成長する会社の例」と言えると思います。
会社ウェブサイト
www.myokardia.com
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