2024年11月15日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1496.07で終わりました。一週間前に比べ-79.06(-5.02%)の急反落となりました。主要インデックスのNYダウ(前週末比-1.24%)とSP500(前週末比-2.08%)と比べても、明確に強い一週間でした。
一週間前に起きた、いわゆる「トランプトレード」の反動に加え、米国景気が底堅くインフレ低下が鈍化してきたため、「FRBの金融緩和スピードが遅くなる」という心配が背景にありました。
<トランプ政策と米国小型成長株>
上記の通り、トランプトレードの反動に加え、「景気の強さを反映した、金融緩和政策の鈍化懸念」により、米国小型成長株は厳しい動きでした。
しかし、前回のコメントでも書きましたが、「トランプ政策は米国小型成長株にとっては、全体としてはプラス」と思っています。
背景は
・需要サイドはプラス :
米国内での需要の成長は加速すると予想される。
・供給(調達)サイドは不明 :
輸入物価には上昇圧力がかかるものの、エネルギー価格低下が期待できる。
・金利要因は不明 :
インフレ圧力+減税による財政悪化懸念というマイナス材料と、経済成長による税収増+政府の効率化による赤字削減期待というプラス材料、が混在する。
という感じです。
さらに、米国小型成長株は長期的な視点で割安であるため、長期的にはプラスの影響が大きく反映すると期待しています。
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
トランプ氏が大統領となったころから、4つ全て、非常に大きな影響を受けます。
ドイツは早速政権が崩壊しました。英国は政権政党である労働党が、選挙戦最終版でハリス陣営に肩入れした件がくすぶります。一方で選挙前にトランプ氏に肩入れいていたハンガリーのオルバン氏の立場が急速に高まっています。
ウクライナについては、ドンバス戦線の防衛線が崩壊しており、日々状況は悪化し続けています。停戦への圧力がさらに高まることが予想されます。
中国は、関税の問題によって、外需主導の経済成長は難しくなります。一方で、不動産不況による内需も弱く、財政出動によるインフラ主導経済への逆戻りが懸念されます。バブル退治をするどころか、さらなるバブルを作り出すリスクが高まるからです。
ただし、トランプ政権の政策は「米国のメリットために、米国以外を犠牲にする」政策であり、この点で、米国小型成長株にとっては悪いとは限りません。むしろ、これまでより「外部材料の悪化の影響を受けにくい投資環境」になると考えられます。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年11月15日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1496.07/5870.62=25.48%、
26週移動平均との乖離は+0.37%でした。
この3年間、小型成長株は相対的に「大負け」の状況です。
金利上昇、一部の大型IT・AI企業の上昇など、負け材料が連発でした。
現在の小型成長株の相対的な水準は、この20年間で最低水準にまで下がっています。
主力インデックスに比べて、「歴史的な割安状態」にあります。
トランプ政権によって、「超割安な小型成長株の、長期的な回復相場が始まる」と期待しています。
→ 2021年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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