2024年11月8日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1575.13で終わりました。一週間前に比べ+130.49(+9.03%)の急上昇となりました。主要インデックスのNYダウ(前週末比+4.61%)とSP500(前週末比+4.66%)と比べても、明確に強い一週間でした。
トランプ氏が大統領選挙に当選したことで、いわゆる「トランプトレード」が起こりました。
相対的に「有利になる」を思われる、米国小型成長株は急上昇となりました。
<トランプ・トレードと米国小型成長株>
トランプ氏の場合、「実現性はともかく、とりあえず選挙に勝てそうなこと事を言う」という姿勢なため、「発言の内容には、ファンダメンタル的な矛盾」も多くなっています。このため、「具体的な政策が発表された時に、株式市場にどのような影響がでるのかは、まだまだ不透明」というのが実情です。
しかし、とりあえず「他国への考慮・配慮はしない。米国国内の需要を上げる。規制緩和は進める。地球環境問題に縛られない。」という方向が期待されます。
米国の小型株は、「内需」「規制緩和」という点では非常にメリットを受けます。一方で、「関税による海外からの調達への障害」というデメリットもあります。
インフレおよび金利の動向については、単純ではありません。
インフレについては、「関税の上昇→物価高」と「地球環境に縛られない→化石燃料の開発が再び活発化する→原油価格の低下→物価安」という2つの要因の綱引きになります。
さらに、長期金利は「インフレ」と「財政状況」という2つの要因を受けます。そして、財政状況も複雑な動きになります。減税延長による税収不足と、(規制緩和や環境規制緩和による)経済活動の活発化による税収増の綱引きになるためです。
まとめると、
・需要サイドはプラス
・供給(調達)サイドは不透明
・金利要因は不透明
という感じです。
とりあえず、小型成長株が割安で出遅れであったこともあり、最初の一週間は「プラス面」を評価する動きとなり、「大幅な上昇」という結果になりました。
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
トランプ氏が大統領となったころから、4つ全て、非常に大きな影響を受けます。
中国については60%の関税という明確な問題が発生します。
中東については、イスラエルへの一段の援助傾斜とイランへの強硬な外交が始まります。
欧州政治は、非常に複雑かつ多方面で影響を受けます。(ウクライナ、NATO、移民、強権政治の国々の動き、リベラル政治への影響、等々)特に、ドイツ政権が制御不能となっているだけに、大きな影響がでます。
ウクライナは、「停戦」が具体化します。
トランプ政権は「海外のことは知ったことではない」という基本姿勢なので、米国小型成長株市場にとっても「海外の影響を受けにくくなる」可能性はあります。
この点でも、トランプ政権は、米国小型成長株にとってプラスになります。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年11月8日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1575.13/5995.54=26.27%、
26週移動平均との乖離は+1.16%でした。
この3年間、小型成長株は相対的に「大負け」の状況です。
金利上昇、一部の大型IT・AI企業の上昇など、負け材料が連発でした。
現在の小型成長株の相対的な水準は、この20年間で最低水準にまで下がっています。
主力インデックスに比べて、「歴史的な割安状態」にあります。
トランプ氏の当選した1週間は、米国小型成長株にとって非常に強い一週間でした。
トランプ政権によって、「超割安な小型成長株の、長期的な回復相場が始まる」と期待しています。
→ 2021年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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