2024年10月18日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1480.08で終わりました。一週間前に比べ+21.93(+1.50%)の続伸となりました。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.96%)とSP500(前週末比+0.85%)に比べてもやや強い動きでした。
一週間を通してみれば、小動きでしたが週の前半はかなり大きな下げとなりました。ASMLホールディングの決算発表で売上高見通しが非常に弱気であったことから、半導体関連を中心にかなり売られました。しかし、半導体以外では市場全体は底堅く、さらに10月17日に発表された小売り売上高が予想より強かったことから、景気の底堅さに対する信頼が高まり、特に割安が意識されてきている小型株は堅調でした。
以前から、このコメントで指摘していますが、小型株、小型成長株の「割安」は歴史的であり、市場環境が落ち着けば「割安・出遅れ」に注目が集まります。
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
FRBの金融政策は利下げが実行されました。今後、焦点は「景気の底堅さ」です。
今後、利下げ効果の期待感もあり、極端な景気減速を示す経済指標が出ない限り、株式市場は堅調と思います。
特に、歴史的に主力インデックスに対して非常に割安である小型成長株は、全体水準のみならず相対的(対主力インデックス)にも堅調な動きになることを期待しています。
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
今週も相変わらず何も好転しておりませんが、極端な悪化イベントもなく、米国小型成長株には影響を与えませんでした。
<中東問題>
ハマスの最高指導者であるシンワル氏の殺害が発表されました。これを節目にしてイスラエルがハマスへの攻撃をやめるのか、さらに継続するのかが注目されます。また、イランからの攻撃に対するイスラエルの反撃の「中身」が依然として非常に重要です。
<ウクライナ>
一つ気になる出来事がありました。
「ウクライナは少しずつ、ロシアだけではなく西側諸国をも敵視し始めたのではないか?」ということです。
背景は「ウクライナは正しい事している。にも拘わらず西側諸国は本気で助けてくれない。ロシアに勝てないのは、西側諸国のせいだ」というウクライナ世論です。今週ゼレンスキー大統領が、「NATOへの速やかな加盟、あるいは、再核軍備」に触れています。(その後、西側諸国・ロシアからの反発が強く、ゼレンスキー大統領は、NATO加盟を目指すのがメインであると、発言を修正していますが)
日々、ウクライナの戦況は明確に悪化しています。一方で、西側特に米国は「ウクライナが負けるのは困る、しかし、ロシアを追い詰めるのはもっと困る」という姿勢は崩しません。現在の動きの延長線上に「ウクライナの危機的状況の深まり」があるため、この再核軍備の話は「浮かんでは消え、世界的な緊張を高める」リスクがあります。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年10月18日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1480.08/5864.67=25.24%、
26週移動平均との乖離は+0.14%でした。
この3年間、小型成長株は相対的に「大負け」の状況です。
金利上昇、一部の大型IT・AI企業の上昇など、負け材料が連発でした。
現在の小型成長株の相対的な水準は、この20年間で最低水準にまで下がっています。
主力インデックスに比べて、「歴史的な割安状態」にあります。
FRBによる利下げも実行され、今後、極端に景気が悪化しない限り、小型成長株は「これまでの負けを取り返す」本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。
(外部材料のこれ以上の悪化がなければ、という条件付ですが。)
→ 2021年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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