2024年9月27日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1444.20で終わりました。一週間前に比べ+1.13(+0.08%)の小幅続伸でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.59%)とSP500(前週末比+0.62%)に比べてやや弱い動きでした。
発表された経済指標は、9月25日発表の8月新築住宅販売は予想よりやや高く(=景気は底割れしていない)9月27日発表のPCEデフレーターは予想よりやや低く(=インフレは順調に収まっている)となり、全体として株式市場にとってポジティブでした。
しかし、この数週間、利下げ期待でかなり上昇していたため、「少し休憩」という一週間でした。
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
FRBの金融政策は利下げが実行されました。今後、焦点は「景気の底堅さ」です。
今後、利下げ効果の期待感もあり、極端な景気減速を示す経済指標が出ない限り、株式市場は堅調と思います。
特に、歴史的に主力インデックスに対して非常に割安である小型成長株は、全体水準のみならず相対的(対主力インデックス)にも堅調な動きになることを期待しています。
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
今週は、中国政府が景気刺激策を発表しました。しかし、中東とウクライナは状況が悪化しています。
<中国の景気刺激策>
ついに中国政府が9月24日から景気刺激策を相次いで打ち出しました。柱は「金融緩和」と「株式市場への買い支え介入」でした。
当面、不動産市場、株式市場は「一息いれる」という感じになります。短期的には中国景気にプラスの影響を与えることが予想されます。
しかし、このコメントでは過去何度か書いていますが、中国の経済不況の原因である不動産不況は「金融緩和」だけでは解決しないと思っています。
不動産開発会社のバランスシート問題の解決には、「金融緩和」だけではなく、「政府セクターによる損失の引き受け」が必要です。しばらくは「良さげ」な雰囲気がでますが、時間がたてば再び「バランスシート」の問題が表面がします。
<中東情勢>
ヒズボラに対するイスラエルの容赦ない攻撃が継続しており、明確にエスカレーションしています。鍵はイランです。イランは「ヒズボラを見捨てると、威信が悪化する」しかし「本格的にイスラエルと戦争しても、勝てそうにない」という状況にあります。
イランが自重してくれれば、中東情勢はこれ以上悪化しません。しかし、イランが「計算を無視して戦争に参加」すれば、原油価格の高騰など、米国株にも悪材料となります。
<ウクライナ>
残念ながら、ゼレンスキー大統領の訪米は期待外れの結果でした。
米国は「ウクライナが負けるのは困る、しかし、ロシアを追い詰めるのはもっと困る」という姿勢を維持しました。
しばらく「ロシアは占領地域を拡大していく。ウクライナは耐えられるまで耐える。」が継続します。この状況が続いている間は、米国株式にとって目立った悪材料にはなりません。
しかし、この状況ではウクライナの理想とする勝利には向かわないため、将来のある時点で「本質的な崩壊」=「西側がウクライナが受け入れられる形での勝利をあきらめさせる」が来る可能性が高まります。この場合は、ウクライナはもちろん、西側諸国、世界全体に大きな影響与えます。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年9月27日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1444.20/5738.17=25.17%、
26週移動平均との乖離は+0.04%でした。
この3年間、小型成長株は相対的に「大負け」の状況です。
金利上昇、一部の大型IT・AI企業の上昇など、負け材料が連発でした。
現在の小型成長株の相対的な水準は、この20年間で最低水準にまで下がっています。
主力インデックスに比べて、「歴史的な割安状態」にあります。
FRBによる利下げも実行され、今後、極端に景気が悪化しない限り、小型成長株は「これまでの負けを取り返す」本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。
(外部材料のこれ以上の悪化がなければ、という条件付ですが。)
→ 2021年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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