2024年8月16日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1383.73で終わりました。一週間前に比べ+41.32(+3.08%)の大幅反発でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+2.94)とSP500は(前週末比+3.93%)となり、ともに小型成長株と同程度の上昇率となっています。
米国の景気はハードランディングするのか?それともソフトランディングにとどまるのか?米国景気の強弱についての市場の疑念が続いています。
8月14日に発表されたCPIは予想より伸びが少なく、8月15日に発表された小売売上高は逆に予想より強く、「インフレは安定、景気は底堅い」という理想的な結果でした。
株式市場はこれらの経済指標を好感し、堅調な動きとなっています。
2週間前のハードランディング懸念で小型成長株は大幅下落したため、本来であればその反動で「主力インデックスに大幅アウトパフォーム」が期待されるべき状況でした。しかし、一部の大型IT・AI関連銘柄も再び買いを集めたため、小型成長株は「主力インデックス並み」の反発となっています。
結果的に、米国小型成長株の対大型株の比率は、この20年間で最も割安な水準を留まっています。(下記のラッセル2000グロース÷SP500も参照ください)
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
この数か月、このコメントでは「米国景気のソフトランディング」を前提に、「米国の小型成長株にはポジティブな環境、さらに主力株に対して歴史的割安感」と考えてきました。
しかし、ここにきて「ソフトランディング」への懸念が株式市場に出てきました。
しかしながら、米国小型成長株が「相対的に異常な割安である」という点は変更がありません。
但し、景気が本当にハードランディングとなった場合、小型成長株は「少数の勝者、多数の敗者」が生まれ「インデックス全体は冴えない動き」となる傾向があります。
インデックスファンドに対して、アクティブ運用のファンドの「運用の優劣」が明確になる局面でもあります。
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
今週も、何ら好転はしていませんが、「安定して悪化」しているため小型成長株には悪影響がありませんでした。
<中東問題>
今週は「とりあえず」イランの反撃はなく、小康状態でした。
引き続き停戦協議は行われていますが、イスラエルの目的が「ハマスの壊滅」である以上、ハマスが許容できる「停戦条件=休戦」にはなりません。停戦の実現は非常に難しいと思っています。
<ウクライナ戦線>
ウクライナによるクルクス方面への攻撃が継続しています。ウクライナ軍の発表では1000平方キロの地域を占領したとのことです。
一方で、ウクライナが期待していた「ポクロウシク方面・ニューヨーク方面のロシア軍の進軍の速度低下」は起こっていません。
私が注目している「中立的であると思われる軍事ブロガーやユーチューバー達」は先週時点でも、今回のウクライナ軍のクルクス侵攻に否定的でした。今週はさらにその否定的評価が強まっています。
停戦についてのロシアの態度をウクライナの考えに近づけるには、クルクス地域の占領の拡大・維持が必要です。しかし、1000平方キロもの面積の占領のためには、限られた資源(兵隊と武器)をクルクス地域への集中の継続が必要となります。
しかしその場合、ポクロウシクやニューヨーク方面でのロシア進軍はさら加速する可能性があります。逆に、プクロウシクやニューヨークでのロシア軍の進軍を抑えるために、クルクスを放棄すれば、何のための今回のクルクス侵攻であったのか?ということになります。
ウクライナがクルクスを長期的に占領可能な状態に持っていくのと、ロシアがポクロウシク地域で決定的な状況を作り出すのとの、「競争」になっています。
ミリタリーブロガー等の多くは、「クルクス戦線でのウクライナ軍の早急な新たな突破→さらに重要な拠点の占拠(原発など)がない限り、ウクライナの置かれた状況は、非常に厳しくなる」という意見です。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年8月16日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1383.73/5554.25=24.91%、
26週移動平均との乖離は-0.45%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。その後も一貫して下落していましたが、「FRBの利上げ局面終了」により、2022年5月からやや持ち直しました。
しかし、昨年後半から、大型株は一部のIT銘柄に引っ張られる形で非常に堅調であるのに対して、小型成長株の上昇率は「利下げが明確にならない」ため上昇速度が「相対的に少ない」状況です。(実際には、小型成長株の決算も悪くないのですが、市場は正当に評価していません)
現在の小型成長株の相対的な水準は、この20年間で最低水準にまで下がっています。
主力インデックスに比べて、「歴史的な割安状態」にあると考えており、小型成長株の本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。
(外部材料のこれ以上の悪化がなければ、という条件付ですが。)
→ 2020年9月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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