2024年7月12日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1403.08で終わりました。一週間前に比べ+72.39(+5.44%)の大幅反発でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+1.59)とSP500は(前週末比+0.87%)に比べても上昇率は突出しており、ここ数週間の「小型成長株の相対的な負け」をかなり取り返しました。
7月11日に発表されたCPIは、前年比3%、前月比-0.1%と鈍化が明確となり、債券市場も堅調でした。しかし、主力株、特に大手IT銘柄は「材料出尽くし」で一気に利食い売りが入りました。
一方で、小型成長株はこれまで「無視」されていた反動もあり、素直に買う動きとなり、主力インデックスに対して「非常に大きなアウトパフォーム」しました。
しかしながら、今週の大幅なアウトパフォーマンスにもかかわらず、依然として現在の小型成長株の対大型株の比率は、この20年間で最も割安な水準にあります。(下記のラッセル2000グロース÷SP500も参照ください)
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
最近発表されている経済資料はまちまちです。しかし傾向としては
・景気は底堅い
・インフレの低下は予想よりスピードが遅い。しかしインフレが加速しているわけではない
・このため利下げのタイミングは先に延びてきた。しかし、利上げ局面は終わっている。
このような環境は、米国小型成長株にとっては、決して悪い環境ではありません。
利下げタイミングが先になったとしても、一時のような大幅なインフレが来ているわけではありません。景気が堅調だからインフレの低下が鈍っているだけです。全体としてはプラスの環境です。
また、金利もタイミングはともかく低下トレンドであり、さらに利上げ環境にはなりそうにありません。
週末に「トランプ氏の暗殺未遂事件」というショッキングな事件がありました。7月15日から共和党全国大会もあり、少なくとも週の前半は非常に不透明な環境となります。
外部材料が落ち着けば、小型成長株にとって経済・金融環境は良好です。時間をかけて堅調な市場が続くと思っています。
(下記のラッセル2000グロース÷SP500も参照ください)
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
今週も先週に引き続き、小型成長株に影響を与える動きはありませんでした。
フランスの総選挙(2回目)は、左派と与党との選挙協力が成功し、右派は予想外に伸びませんでした。しかし、結果的に議会が3等分されることとなり、非常に不安定な状況となりました。オリンピック後の政争が懸念されます。
中東、ウクライナは相変わらずです。イスラエルは国際的な圧力をまったく無視して、ハマス壊滅だけを推し進めています。
ロシアもウクライナへの攻撃を激化させており、ウクライナは「停戦を受け入れざるを得ない状況に陥るのか」と「何とか苦境を跳ね返して戦争を継続できる」の分岐点にあると思っています。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年7月12日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1403.08/5615.35=24.99%、
26週移動平均との乖離は-0.43%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。その後も一貫して下落していましたが、「FRBの利上げ局面終了」により、2022年5月からやや持ち直しました。
しかし、昨年後半から、大型株は一部のIT銘柄に引っ張られる形で非常に堅調であるのに対して、小型成長株の上昇率は「利下げが明確にならない」ため上昇速度が「相対的に少ない」状況です。(実際には、小型成長株の決算も悪くないのですが、市場は正当に評価していません)
現在の小型成長株の相対的な水準は、この20年間で最低水準にまで下がっています。
主力インデックスに比べて、「歴史的な割安状態」にあると考えており、小型成長株の本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。
(外部材料のこれ以上の悪化がなければ、という条件付ですが。)
→ 2020年9月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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