2024年5月24日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1344.87で終わりました。一週間前に比べ-3.42(-0.25%)の続伸でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-2.33%)とSP500(前週末比+0.03%)はかなり異なる動きをしています。
NYダウは、景気の強さ→金利引き下げが先に延びる→株は下がる、という感じでした。しかし、SP500は、景気の強さの原因の一つであるAI・半導体景気を象徴するエヌビディアが好決算で株価が急騰、結果的にSP500を下支えしました。
「景気の強さ」というプラス材料と、「金利引き上げ先延ばし」というマイナス材料が綱引きをしている状況です。
小型成長株も、景気の強さで支えられる銘柄もあり、かつ全体として割安でもあることから、ラッセル2000グロースはほぼ横ばいでした。
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
最近発表されている経済資料はまちまちです。しかし傾向としては
・景気は底堅い
・インフレの低下は予想よりスピードが遅い。しかしインフレが加速しているわけではない
・このため利下げのタイミングは先に延びてきた。しかし、利上げ局面は終わっている。
このような環境は、米国小型成長株にとっては、決して悪い環境ではありません。
利下げタイミングが先になったとしても、一時のような大幅なインフレが来ているわけではありません。景気が堅調だからインフレの低下が鈍っているだけです。全体としてはプラスの環境です。
また、金利もタイミングはともかく低下トレンドであり、さらに利上げ環境にはなりそうにありません。
外部材料が落ち着けば、小型成長株にとって良好な環境となります。時間をかけて堅調な市場が続くと思っています。
(下記のラッセル2000グロース÷SP500も参照ください)
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
引き続き、好転はありませんでした。
① 中東は一段と不透明感がましています。
ユダヤ人はディアスポラで迫害の歴史を経験しているため、イスラエルは「国の運命」がかかっていると考える場合、国際社会(欧米諸国、グローバルサウス、途上国、さらにICJ)がいくら反対しても、ぶれません。さらにイランの大統領は事故死、サウジアラビアの国王の健康問題もあり、中東の状況は不透明感が増しています。
② 中国の不動産買取政策は、さっそく市場から否定的な反応をもらっています。
③ ウクライナ戦線では、ハルキウ戦線を支えるためにウクライナ軍はハルキウで増員をしています。その兵隊はかなりの部分を「本当の予備兵隊や新規の増員」ではなく、「他の戦線から兵隊を抜いて」行われていると言われています。
このコメントでは従来から「西側メディア」と「中立的であると思われるブロガーやユーチューバー」の意見の差を指摘しています。(そして、ほぼ確実に中立的であると思われるブロガーやユーチューバーの方が、結果的に正しい分析をしています)
中立的なブロガー達は、「ウクライナは罠にはまっているのでは?ハルキウに兵隊を集めさせられている」と見ています。そして「短期的にロシア軍を一気に叩いて、国境線まで押し返し、そして元々いた戦線に戻らないと、ウクライナは非常に厳しい状況に追い込まれる」と言っています。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年5月24日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1344.87/5304.72=25.35%、
26週移動平均との乖離は-0.53%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から27%~28%程度で「底値での横這い」という感じでしたが、2023年9月にはいり、さらにこのレンジを下に突き抜け、ついに2023年11月上旬には25%割れまで下落しました。FRBの利下げ期待が出てきたことから下げ止まっていますが、まだまだ異常に低い水準にあります。
小型成長株の本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。
(外部材料の悪化が続いています。心配しています。)
→ 2020年9月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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