2024年4月12日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1298.60で終わりました。一週間前に比べ-38.39(-2.87%)の大幅続落でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-2.37%)やSP500(前週末比-1.56%)に比べても、大きな下落でした。
4月10日に発表になったCPIは予想より高い伸びを示し、FRBの金利の引き下げタイミングが先に延びたとの懸念から、下落しました。
さらに、金曜日になると中東情勢の緊張が大きくなり、さらに売られました。
先週はウクライナによるロシア製油所への攻撃が石油市場を刺激しました。今週はイスラエルによる在シリアのイラン大使館への爆撃に対し、イランが報復する懸念により、地政学的リスクが一気に高まりました。
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
米国経済の堅調さは、本来ならば小型成長株にプラスです。
しかしながら、経済が堅調だがインフレもなかなか下がらない、という状況では、金融政策がなかなか緩和されず、「相対的に脆弱な財務状況を持つ小型株」は全体として避けられる運命にあります。この3年間、小型成長株は一貫して主力株に対して売られている背景です。
しかし、利益水準等を基準とするバリュエーションでみると、既に小型成長株の水準は「かなり悪い材料を織り込んでいる」状態であり、今後金利が下がれば修正がはいる=株価が上昇する、事が期待できると思っています。
(下記のラッセル2000グロース÷SP500も参照ください)
<外部材料>
問題は、米国の外の材料、「外部材料」です。
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
先週の「ウクライナによるロシア製油所への攻撃→原油価格高騰」に引き続き、今週は「イスラエルとイラン間の緊張エスカレーション」が小型成長株に悪影響を及ぼしています。
過去のコメントでは、「まだ、米国小型成長株に影響を及ぼしていませんが、外部材料の悪化を心配しています」という感じでした。
しかし、この2週間は「心配していたことが、ついに悪影響を及ぼし始めました」になってきました。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年4月12日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1298.60/5123.41=25.35%、
26週移動平均との乖離は-0.49でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から27%~28%程度で「底値での横這い」という感じでしたが、2023年9月にはいり、さらにこのレンジを下に突き抜け、ついに2023年11月上旬には25%割れまで下落しました。FRBの利下げ期待が出てきたことから下げ止まっていますが、まだまだ異常に低い水準にあります。
しかし、ここにきて心配していた外部材料が大きな悪化を示しており、しばらくは厳しい状況が続きそうです。
但し、現在の小型成長株は「相当悪い材料」を織り込んでいるバリュエーションです。少なくとも相対的には、これ以上の主力株への負けは「長期的な買いチャンス」と提供していると思っています。
→ 2020年9月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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