2024年3月28日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1379.36で終わりました。一週間前に比べ+29.78(+2.21%)の続伸でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.84%)やSP500(前週末比+0.39%)に比べても高い上昇となりました。
ここ数週間小型成長株が相対的に冴えなかったこともあり、少し取り返した感じです。
今週の米国株式市場は、イースターによる金曜日休場に加え、市場が休場の3月29日に市場への影響の大きい個人消費支出+パウエルFRB議長講演が控えたこともあり、基本的に小動きでした。
しかし小型成長株は、この数週間の相対的な負けを修正するように、かなり大きな上昇となりました。
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
3月29日のパウエル議長の発言では、「インフレ率の低下について確信を持てるまで、利下げを急ぐ必要はない」という内容でした。
米国景気は堅調が継続しています。一方インフレ率は、FRBのターゲットとする2%程度に比べると3%~4%と幾分高くなっています。思ったより利下げのタイミングが遅れています。
しかし、金利を引き上げるリスクはなく、金融引き締め局面で小型成長株は主力インデックスに大幅に売り込まれています。今後、この「小型成長株の割安さ」は長期的に修正されると期待しています。
一方で、大型株は大手ハイテクに引っ張られて上昇しています。これらのハイテク銘柄には「独禁法」という「敵」がいます。
中長期的な視点で見れば、「景気は底堅い、しかしインフレは落ち着く」、というのは小型成長株にとっては最高の投資環境にあります。外部材料が悪化しなければ、小型成長株の逆襲相場が来ると期待しています。
(下記のラッセル2000グロース÷SP500も参照ください)
<外部材料>
米国国内の環境は良いのですが、「米国の外の材料」は、懸念材料が山積しています。
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
今週も引き続き、悪化が続いています。
1)ウクライナ侵攻
ロシアのウクライナ侵攻は、戦後体制の大きな変化につながるため、長期間・かつ構造的に株式市場に影響を与えます。
今週も依然として、ロシア軍による地域の獲得は継続しています。さらに、発電所等のインフラへの空爆が増えており、停電の頻発による「経済全体の低迷」+「武器生産の減少」という「ウクライナの継戦能力にダメージを与える」作戦も進行しています。
ウクライナとしては、何とか戦況を変えようと、ロシアの製油所に攻撃をしていますが、これも「世界の原油価格を上げて、アメリカのインフレに悪影響だから止めてくれ」と米国から反対されています。(確かに原油高は、米国株式市場には悪材料です)
ウクライナの根本的な問題である「動員問題」も解決していません。少しずつにせよ、様々な局面で悪化が継続しています。
ウクライナは何とか、「米国の支援予算の決定」→「アメリカから武器が来るから、再び反転攻勢ができる」→「だから動員に協力してくれ」→「動員問題も解決」→「反転攻勢」という流れを作りたいのでしょう。
ウクライナが切れてしまう(=戦線の崩壊)の前に、アメリカの支援予算(+ある程度距離の出る兵器の提供)が必要になります。
一方、前回のレポートでも書きましたが、欧州のNATO諸国からのウクライナへの兵員提供について真実は何のか?も注視すべきです。私が中立的であると思っている軍事ブロガーやユーチューバーによれば、ウクライナでポーランドの上級軍人の死亡という情報もあります。
アメリカの支援予算の行方、欧州諸国の兵員派遣状況など、大きな動きになりそうな材料が山積してきました。
2)中東問題
3月25日の国連の安全保障理事会で、米国が棄権してことで「ガザ即時停戦決議案」が採択されました。反イスラエル・親パレスチナを支持する米国国内(特にリベラル派や若者)と国際社会の流れが、ついに米国を追い込みました。
しかし、3月29日のワシントン・ポストによれば、バイデン政権はイスラエルに追加の軍事支援を承認したそうです。
民主党支持者の「反イスラエル感情」は一段と強くなっていますが、共和党支持者のイスラエル支持は(若干減少しているものの)依然として半数を超えています。バイデン政権の苦悩は続きますが、バイデン政権が「板挟みで困っている」状態では、イスラエルを押さえつけることができません。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年3月28日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1379.36/5254.35=26.25%、
26週移動平均との乖離は+0.41%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から27%~28%程度で「底値での横這い」という感じでしたが、2023年9月にはいり、さらにこのレンジを下に突き抜け、ついに2023年11月上旬には25%割れまで下落しました。FRBの利下げ期待が出てきたことから下げ止まっていますが、まだまだ異常に低い水準にあります。
小型成長株の本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。
(悪化を続ける米国国外の悪材料が爆発しないことを願いながら)
→ 2020年9月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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