2024年3月22日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1349.58で終わりました。一週間前に比べ+13.68(+1.02%)の反発でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+1.97%)やSP500(前週末比+2.29%)に比べると小幅の上昇にとどまっており、引き続き小型成長株は主力インデックスに冴えない動きが続いています。
今週の米国株式市場は、「景気は強い」しかし「FRBは年内の3回利下げの姿勢は維持」という材料をどのように織り込んでいくのか?という一週間でした。
債券市場は今週、この2つの材料のうち「年内利下げ」をやや大きな材料という感じで消化しました。そしてこの2週間で見ると、「景気の強さの悪影響」を「悲観的」な材料として消化しました。
一方株式市場は、先週も今週も、「景気は底割れしていない。さらにFRBは利下げの姿勢を崩していない」という「両方良い楽観的」な材料として消化しています。
<米国小型成長株の出遅れ、割安さ>
小型成長株は、「景気の強さ」を悪材料として消化する債券市場に引っ張られる形で、「景気の強さを好意的に消化する主力インデックス」より、「やや弱い動き」がこの3ヶ月続いています。
しかし、この短期的な動きの前の段階で既に、小型成長株の主力インデックスに対する相対的な負けが始まって、3年近くになります。特にこの2年間は、長期的なトレンドから見ても、大幅に割安な水準が続いています。
この1年半、主力インデックスは上昇し最高値更新になっていますが、小型成長株はまだまだ上昇率が鈍く、歴史的高値からはかなり下の水準にあります。
(下記のラッセル2000グロース÷SP500も参照ください)
景気は底堅い、しかしインフレは落ち着く、というのは小型成長株にとっては最高の投資環境にあります。外部材料が悪化しなければ、小型成長株の逆襲相場が来ると期待しています。
<外部材料>
米国国内の環境は良いのですが、「米国の外の材料」は、懸念材料が山積しています。
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
今週も引き続き、悪化が続いています。
1)中東
このコメントでは、従来より以下の見方をしています。
「イスラエルは国家の存亡がかかっているから、米国が本気で反対しない限り、ガザ侵攻を継続する。バイデン政権は、親パレスチナ的な民主党リベラル派と、米国全体では中道~保守派まで幅広い親イスラエル感情の板挟みによって、思い切った行動がとれない。中途半端なバイデン政権では、イスラエルはコントロールできない」
今週も、ネタニヤフ政権はバイデン大統領の要請を無視して、ガザ侵攻を続けています。大統領選挙が迫るなかで、バイデン政権は米国国内の親イスラエル感情を完全に無視した政策を取ることは非常に難しくなっています。(誰も止められないため)、当面イスラエルの侵攻は止まらないと思っています。
2)ウクライナ
大統領選挙はプーチン氏が圧勝し、背景はわかりませんが、モスクワ郊外でのテロによる多数の犠牲者が発生しました。ロシアの攻撃が一段と拡大する可能性があります。
一方で、ウクライナは依然として動員の問題が解決しておらず、どこかで大きな戦線の変化が起こる(=ウクライナの防御ラインの崩壊)リスクが継続しています。
(私が中立的であると思っている)軍事ブロガーやユーチューバーによれば、ウクライナの防御ラインの崩壊の対応策として、フランス等いくつかの欧州諸国が、兵員をウクライナに送っているという情報があります。
この場合、現在は、ウクライナ(+NATO諸国の援助)対 ロシア、ですが
ある時点で、NATOの一部+ウクライナ 対 ロシア 、という戦争になる可能性があります。
今までとは異なるレベルの「(米国小型成長株にとっての)悪材料」となります。
非常に心配しています。
3)欧州の選挙
EU内の農業デモが一段と拡がっており、6月上旬に迫った欧州議会選挙への影響が懸念されます。
さらに、上述のように、本当にNATO諸国の一部が兵員をウクライナに送っているのなら、さらにこのことが公になるのなら、欧州議会選挙は大荒れとなります。
こちらも、これまでと異なるレベルの「(米国小型成長株にとっての)悪材料」となります。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2024年3月22日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1349.58/5234.18=25.78%、
26週移動平均との乖離は-0.08%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から27%~28%程度で「底値での横這い」という感じでしたが、2023年9月にはいり、さらにこのレンジを下に突き抜け、ついに2023年11月上旬には25%割れまで下落しました。FRBの利下げ期待が出てきたことから下げ止まっていますが、まだまだ異常に低い水準にあります。
小型成長株の本格的・長期的なリカバリー相場を期待しています。
(悪化を続ける米国国外の悪材料が爆発しないことを願いながら)
→ 2020年9月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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