2023年11月17日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1136.21で終わりました。一週間前に比べ+56.15(+5.20%)と急反発しました。主要インデックスのNYダウ(前週末比+1.94%)やSP500(前週末比+2.24%)も大幅に上回り、一週間前の「大負け」をかなり取り返しました。
11月14日に発表となったCPIの上昇率が予想より低かったことから、金融引き締め終了期待が大きくなり、株式市場は大きく上昇しました。特に、小型成長株はこの数週間、主力インデックスに対して非常に悲観的な見方となり、相対的に大きく負け越していたこともあり、急反発となりました。ラッセル2000グロースは、一日で5%を超える上昇でした。
この1年以上、米国の小型成長株は非常に厳しい動きとなっていますが、金利引き締め局面が「本当に終われば」やっとこの局面も終わりとなります。小型成長株の復活に期待したいところです。
<米国政治>
つなぎ予算について注目が集まりましたが、民主党・共和党ともに、混乱の責任を回避する動きとなり、無事予算の問題は決着しました。
しかし、前回同様、共和党の強硬派は反対に回り、共和党内での内紛が再び悪化する可能性があります。
イスラエルとウクライナへの支援は含まれず、大統領選挙を前にして、米国の一段の内向きな姿勢が気になります。
<外部材料>
イスラエルは、粛々とガザ侵攻を進めています。
ロシアも粛々とウクライナ侵攻を進めています。
しかし、西側諸国は、どちらの侵攻からも距離を取り始めているようです。
中国経済の問題は、依然としてくすぶり続けていますが、今のところ大爆発になっていません。
米国株式市場も、かなり抵抗力ができたというか、慣れてきて鈍感になったというか、反応しなくなってきました。
しかし、リーマンショックの時もそうですが、大きな問題は実体経済の「構造」に影響を与える形で、金融市場の大きなトレンドを作っていきます。
中東・ウクライナ・中国経済・欧州政治の4つは米国の経済構造に長期的な影響を与えるため、注視が必要であると思っています。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2023年11月17日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1136.21/4514.02=25.17%
26週移動平均との乖離は-1.63%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から27%~28%程度で「底値での横這い」という感じでしたが、2023年9月にはいり、さらにこのレンジを下に突き抜けています。不透明な外部材料が目白押しとなり、小型成長株は、さらに厳しい状況となってきています。
上記の分析は単純にインデックスの水準だけを比較したものですが、ファンダメンタルデータ(利益水準およびPER)で比較しても、現在の小型成長株はかなり割安です。
「小型成長株は割安」になって1年以上となります。特にここにきて「割安さが一段と顕著」となってきました。そろそろ小型成長株相場が来て欲しいと思っています。
→ 2020年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年9月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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