2023年5月5日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1141.60で終わりました。一週間前に比べ+1.36(+0.12%)とほぼ横ばいでした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-1.24%)やSP500(前週末比-0.80%)は下落しており、一週間前と丁度逆の動きでした。
予想通り25bpの利上げでしたが、その後パウエルFRB議長のコメントが予想よりタカ派であったことから、株式市場は軟化しました。しかし金曜日に発表された雇用統計が予想より強かったことから、景気底割れ懸念の薄まったことから、株式は反発に転じました。
結果的に主要インデックスはやや下落、先週まで弱かった小型成長株は横這いまで傷がいえた一週間でした。
原油価格は直近かなり下落したのですが、賃金伸び率はまだ依然として強く、インフレの行方は不透明です。一方で、利上げの副作用である弱小金融機関の経営不安も継続しています。まだしばらくは不安定な市場が続くと予想されます。
<ウクライナの反転侵攻>
ロシアのウクライナ侵攻の戦局は、米国小型成長株には、(特に短期的には)あまり直接的な影響はありません。しかし、西側先進国の社会体制に長期的な影響を与えます。このため小型成長株も、長期的には数々の影響を受けます。
特に、産業セクターの追い風・逆風という点では、かなり大きな影響を与えると思われます。そういう視点で、興味を持って見ています。
(もちろん、日本への国家安全保障上の影響も大きく、一市民としても興味深く見ていますが)
1ヶ月ほど前のコメントで書きましたが、日本のメディア(及びそのニュースソースである西側政府の発表)の意見と、(実際の戦線の動きを鑑みると)中立的であると思われるユーチューバーの意見には、大きな乖離があります。
そしていよいよ「ウクライナの反転侵攻は近い」と言われています。
日本のメディアの意見は
「ウクライナは頑張っている。ロシアの冬の攻勢にも耐えた。遅れていた西側諸国からの兵器提供も、それなりに達成されてきた。兵隊の訓練も積めた。
一方ロシアは、冬の攻勢は失敗した。小さな町であるバフムトすら落とせていない。
さらに、バフムトでは”ロシア軍”が大きな損害を負った。
ロシアの防衛ラインは極めて長く、いくら塹壕を作っても絶対に隙ができる。あとはタイミングと攻撃する場所を選ぶだけ。うまくやればかなり勝てるのではないか」
一方で、中立的であると思われるユーチューバーの意見は
「ロシアの冬の攻勢は、征服地域を拡大することより、ウクライナ軍を消耗させることが目的。バフムトも、それ以外の地域も、重点を置いているのは戦闘ではなく爆撃や砲撃。
このため、ロシア軍の人的損害もそれなりにあったが、ウクライナ軍の人的損傷の方がはるかに大きい。
ロシアは時間をかけて防衛ラインを整備した。さらに兵力も兵器も、ウクライナ軍より余裕がある。
ウクライナ軍の反転侵攻があった場合、攻撃で突破された部分があっても、囲みこむような形で防衛できるのではないか。
逆に、ウクライナ軍の規模が限られているため、ウクライナ軍が侵攻できる部分が限られる。その侵攻された地域以外は、逆にロシア軍が一気に侵攻する可能性すらある」
ゼレンスキー大統領は「ウクライナ軍の反転侵攻は、近々行われる」と言っています。
どのような結果になるのか、高い関心を持って見ています。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2023年5月5日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1141.60/4136.25=27.60%
26週移動平均との乖離は-1.01%でした。
シリコンバレー銀行の破たん以来、「比較的財務状況の健全な大型株を買い、財務力が?の小型株を売る」という流れが継続しており、比率は下落トレンドをたどっています。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。2022年7月から反発トレンドでしたが、SVB破綻以後に再び安値近辺まで下落しています。
市場環境は引き続き厳しいですが、長期的な視点で見れば、小型成長株は歴史的な買い場となっています。
→ 2020年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年3月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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