2021年1月29日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1525.31で終わりました。一週間前に比べて、81.41ポイントの急反落(-5.07%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-3.27%)やSP500(前週末比-3.31%)に比べても大きな下落となっており、先週までの大幅なアウトパフォームの反動となっています。
<Reddit銘柄の反乱>
ゲームストップ等のヘッジファンドがショート(空売り)している銘柄を、膨大な数の個人投資家が、Reddit等の書き込みサイト経由で徒党を組んで買い上げる動きが、市場に波乱を起こしています。
通常、ヘッジファンドは流動性のある(=取引量が多い)大型株をショート、ファンダメンタルの優れた中小型株をロング(=買い持ち)します。小型株をショートした場合、踏みあげられた場合(空売りした株が上昇して損失がでる状態)、ショートカバー(=空売りの買戻し)しようとしても、売り物が少ないため、逃げにくいからです。このため、通常は小型株をショートすることはありません。
にもかかわらず、今回、ゲームストップ等の小型銘柄をショートしたのは、「異常な割高である」と判断したのだと思います。企業のファンダメンタルを無視した、猛烈な買いがあったようです。この異常な株式取引の動向については、「相場操縦」と見るべきかSECは審査しているようです。しかし、ロビンフッド(証券会社)がReddit銘柄の取引規制を行ったことが、逆に問題を複雑にしました。政治家も巻き込んで喧々諤々という状況です。
事の顛末はどのようになるかは不明ですし、しばらくは不安定な市場が継続するでしょう。しかし、これらのReddit銘柄で売買したいギャンブラーを除く通常の投資家には、むしろ今回の波乱をチャンスととらえるべきでしょう。
重要なことは、「今回のような波乱は、魅力的な投資機会を提供する」ということです。株価は企業のファンダメンタル+市場のテクニカルな要素(=需給関係)、で決定します。現在の市場の状況は「市場のテクニカルな要素」が「ファンダメンタル」を押し流していることを意味します。
しかし、ファンダメンタルを無視した短期的な需給は、長期的には逆転します。大幅に買い越している投資家は、いずれポジションを解消するために売りに回る必要があります。逆に、短期的な需給で、本来あるべき株価より安い値段まで売られる銘柄も出てきます。ヘッジファンドが「本来、割安でファンダメンタルが優れていると思う、ロングしている銘柄」を「ショートでやられているから、強制的に売却」させられている可能性があるからです。
今後しばらく継続する不安定な市場こそ、「小型成長株に投資する良いチャンス」になると思っています。
<小型成長株相場、および「ラッセル2000グロース VS SP500」 >
2021年1月29日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1525.31/3714.24=41.07%
26週移動平均との乖離は、+4.83%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。しかし、ついに2020年12月中旬にこのレンジを上に離れました。7年近い持ち合いを上に離れたわけで、今後数年にわたる「小型成長株優位の地合い」が続くと期待しています。
→ 2019年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2020年11月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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