2020年7月10日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1056.31で終わりました。一週間前に比べて、1.11ポイントの上昇(+0.11%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.96%)やSP500(前週末比+1.76%)に比べるとやや劣りますが、この数週間でみるとほぼ同程度の動きをしています。
5月下旬から米国株式市場は、横ばいの動きが続いています。「経済活動再開による経済データの改善」「政策による下支え」というプラス材料と、「経済活動再開+デモを背景とする感染者増加」というマイナス材料が釣り合っており、次の動きを待っています。
<コロナの感染データ>
この3週間、新規感染者は急増、新規の死者数は一定。アクティブケース(現在患者になっている数)は急増、が続いています。短期的にはまだ「いくら死亡率が減っても、患者が激増しているので、楽観的になれない」という感じです。
しかし、ここまで感染が広がると、「米国はコロナを抑え込めるのか?」という疑問より「米国は集団免疫を獲得する最初の主要国になれるのか?」という疑問について考えるべきかもしれません。
米国の累積患者数は「330万人=人口の1%」にまで増加しました。実際の感染者はこの10倍以上と言われています。だとすれば人口の10%~20%が罹患したことになります。
回復後の免疫力の強さ・持続性についてはまだわかっていないことが多いそうですが、「感染率が40%になったら集団免疫が得られる」といっている研究者もいます。もし本当に「40%」がカギとなる数字ならば、米国はかなり近いところまで来た可能性があります。
米国、ブラジル、インド、スウェーデンといった国は、ロックダウンを放棄した国です。患者と実際の感染者数の比率は、実際の感染者数が高めになると思われます。もしこのような仮定が正しいとすれば、「米国は集団免疫で闇を突破する最初の先進主要国」になる可能性があります。もちろん、「現時点での感染者はまだ10%しかなく」「集団免疫のターゲットである40%は不十分な水準」さらに「免疫は非常に弱くかつ持続性もない場合」には、米国は非常に悲惨なことになるのですが。
引き続き下記のサイトでの数字を注視して見ています。(特に、カリフォルニア、テキサス、フロリダ)
<米中の緊張>
先週米国議会で可決された「香港自治法案」は、まだトランプ大統領に署名されていません。しかし、一足早く署名された「ウィグル人権法」によって、中国の政府高官4名が制裁されました。一番高いポジションは「陳全国(Chen Quanguo)氏」で「新疆ウイグル自治区」のトップです。陳氏は、中国共産党の中央政治局のメンバーで、中国全体のトップ30に入る非常に高いポジションの人物になります。
(注) 中国共産党は、党員約9000万人です。そのうち「全国代表大会」に参加できる幹部は約2300人。党中央委員会はそのうち200人。その中で党中央政治局は約30人弱です。さらに党中央政治局常務委員会のメンバーは7名、いわゆるチャイナセブン、になります。
今回、制裁された陳氏は、「中国全体で30人弱しかいない党中央政治局」の一人です。着々と対中国の厳しい制裁が実行に移されています。株式市場に一段と大きな影響を与える可能性のある「香港自治法」の署名およびこの法律による制裁については、さらに注意が必要です。
<米国の小型成長株の割安について>
7月10日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1056.31/3185.04=33.16%
26週移動平均との乖離は、+0.63%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、長期的に32%~38%のレンジで推移していました。
短期的には中立、長期的にはまだ小型成長株は割安、という感じです。
→ 2019年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2020年5月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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