アメリカ成長株:サミット・マテリアルズ(Summit Materials)の概要
サミット・マテリアルズ
Summit Materials Inc
ティッカーコード:SUM
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/SUM/annual
サミット・マテリアルズ社は建設資材の製品とサービスを北米で展開する垂直統合型企業です。
設立以来80以上の買収を完了し、現在は12のプラットフォーム企業を抱え米国の23の州とカナダのブリティッシュコロンビアで事業を展開しています。
サプライチェーンをまとめて傘下に入れる“垂直統合”には、
・規模拡大により製造・流通コストが削減され、経済性・効率性が向上する。
・製品・サービスの供給が安定する。
・ノウハウや機密情報の社外漏洩リスクが下がる。
・現地工場が持つ知識と情報によって地域の状況に合わせられる。
・全体と現地の意思決定のバランスを取ることで最適な判断が可能になる。
などのメリットがあります。
同社はグローバルな展開と現地の意思決定のバランスを重視し、効率性と現場対応力の両立を図ろうと努めていて、これが同社の戦略の柱となっています。
骨材、セメント、生コンクリート、アスファルト、コンクリート製品、プラスチック製品、アスファルト舗装と関連サービスなど、ビル建設やインフラ整備には欠かせない建材を提供しています。
同社はアスファルト舗装を例外として、基本的に建設工事には直接関わらず、材料提供に特化しています。
具体的には以下のような材料・サービス事業を展開しています。
・原材料
コンクリートやアスファルトの製造に必要な骨材(砂、砂利、砕石など)を同社が所有する採掘場で生産する。
自社製品の生産に使い、一部は他社に販売する。
・セメント
骨材の結合剤であるセメントに耐久性、耐候性、適応性を持たせることで多様な建設プロジェクトに対応できる。
ミシシッピ川沿いに2つのセメント工場と全米各地に9つの配送ターミナルを持つ。
・生コンクリート
骨材、セメント、添加剤、水を混合し、工事現場ですぐに使える生コンクリートを生産する。
ミキサー車が入れないような現場には水が入っていないドライミックスとして供給する。
・アスファルト
最も一般的な道路材料であるアスファルトを液体アスファルトと骨材と高温で混合することで生産する。
アスファルトのリサイクルに積極的に取り組んでおり、毎年80万トンほどのアスファルトを再生している。
・舗装など
他の部門と異なり、材料のアスファルトの供給だけでなく、舗装工事までを一貫して行うサービスとして提供される。
州や地方自治体の交通部門との密接な提携関係があり、公共と民間の両方において幅広い工事実績がある。
同社が生産するコンクリートやアスファルトを製造する上で最も重要なのは、骨材となる原材料の確保です。
近年、砂、砂利、砕石などの骨材の供給不足が問題となってきており、同社は採掘場の買収によって骨材の入手経路の拡大を図っています。
骨材を自社生産にすることで供給チェーンを強化し、原材料不足や価格高騰のリスクを軽減しています。
同社は環境に配慮する姿勢も見せていて、製品の生産・保管時の排ガス制御システムを導入する、事業対象地域の生態系への影響を最小限にする、産業廃棄物を燃料に使用するなどの環境対策を実施しています。
また、原材料のリサイクルも積極的に行うことで天然資源を節約し、廃棄物を減らすことにも尽力しています。
劣化した道路からアスファルト層を削り取り、粉砕して新しいアスファルトミックスの製造に使用し、廃棄されたコンクリートを破砕して骨材の一部として再利用しています。
アスファルトは加熱と混合で比較的簡単にリサイクルできますが、コンクリートは骨材の分離が困難でコストがかかるため開発・改善の余地があります。
米国ではアスファルトのリサイクル率は99%以上ありますが、コンクリートの方は2023年までに50%まで引き上げる目標が設定されるなど、まだそれには及んでいません。
同社は廃棄コンクリートを新規建設プロジェクトで再利用している上に、リサイクルに関する技術開発も進めています。
骨材の中でも特に“砂”は、コンクリートの他にもガラスや電子機器の製造に不可欠な材料であるため、世界中で争奪戦が繰り広げられています
コンクリートやアスファルトに欠かせない骨材は有限の天然資源であり、無尽蔵に採掘できるわけではありません。
持続可能な社会を目指す上で、骨材のリサイクルは重要な課題であり、同社のように建設廃材の再資源化に積極的に取り組む企業の存在がますます重要になるでしょう。
会社ウェブサイト
www.summit-materials.com
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