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アメリカ成長株:アセリリン(ACELYRIN):抗体ミメティックを開発

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アメリカ成長株:アセリリン(ACELYRIN)の概要

アセリリン
ACELYRIN Inc
ティッカーコード:SLRN
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/SLRN/annual

アセリリン社は現在3つの治療薬を開発中であり、それぞれの対象疾患と臨床試験(前臨床試験、第1~3相試験の4段階)の進行状況は以下のようになります。

  1. イゾキベプ(izokibep)
    化膿性汗腺炎、乾癬性関節炎、非感染性ぶどう膜炎(第3相試験中)
    軸性脊椎関節炎(第2相試験終了)
  2. ロニグタマブ(lonigutamab)
    甲状腺眼疾患(第1相試験中)
  3. SLRN-517(抗C-KITモノクローナル抗体)
    慢性蕁麻疹(前臨床試験終了)

いずれも病気の原因となる物質に結合してその働きを抑える治療薬です。2のロニグタマブと3のSLRN-517は、哺乳動物に投与して生成された抗体を利用する抗体薬です。

注目したいのは“抗体ミメティック(抗体模倣物)”と呼ばれる1のイゾキベプです。
名称に“抗体”とついていますが、抗体ミメティックは正確には抗体ではなく、目的の物質に結合できる性質とタンパク質であると言う点だけが共通しています。

抗体ミメティックは遺伝子工学技術によって人工的に作られます。
タンパク質の基本構造は20種類のアミノ酸が連なった一本の鎖のようなもので、その配列とアミノ酸の種類によって様々な性質を持ちます。
病気の原因となる物質と結合するタンパク質を得るには、哺乳動物に抗体を作らせる方法が一般的でした。
この方法では手間・時間・コストがかかる上に、思うような効果を発揮する抗体が得られるとは限りません。

一方、抗体ミメティックはコンピューターによる設計とシミュレーションを使って狙い通りの性能を持つタンパク質を作り出せるという点で抗体薬よりも格段に優れています。
従来は天然にあるタンパク質を利用していたのが、遺伝子工学やコンピューターサイエンスの発達で、天然にはない全く新しい機能性タンパク質を創作できる時代になったのです。
生体由来の抗体薬と違って人為的な改造がしやすいため、より高性能で多機能なタンパク質を作成できます。

抗体ミメティックは最近注目されている新しい技術で、抗体薬の代替として開発が進んでいます。
目的のためだけに最小限の構造で設計されるため、抗体と比べて分子として小さいという特徴を持っていて以下のような利点があります。

・組織浸透性が高い
静脈注射による点滴で投与が必要で患者の負担が大きい抗体薬と比べて、体組織への浸透性が高いため皮下注射で済み、患者自身での注射も可能です。

・コンピューターによる設計やシミュレーションが容易
1000個以上のアミノ酸から成り、コンピューターによる計算が複雑で時間がかかる抗体と比べて、アミノ酸が数十から数百と少なく設計や最適化のシミュレーションの計算が比較的容易です。

・安定で熱や分解に強い
長期的な保存や輸送に向いていて、品質の保持がしやすくコスト削減に貢献します。
分解物による副作用が少なく経口投与や点眼薬として使用できます。

・生産コストが低い
培養細胞で作らせるため大量培養が難しく費用がかかる従来の抗体薬と比べて、設計したタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAを大腸菌に入れて増やすだけで効率よく安価に大量生産できます。

・免疫原性が低い
構造が単純で天然にない構造であるため免疫原性が低く、拒絶反応や体内での分解が起きにくくなります。

抗体ミメティックは、ガンや感染症などの診断や治療への利用を想定した開発も進んでいる期待の新技術です。

様々な応用が考えられていて、薬剤、アイソトープ、蛍光分子などを結合した抗体ミメティックのドラッグデリバリー、放射線治療、診断、研究への活用が検討されています。

開発にはコンピューターを多用するため今後、量子コンピューターのような画期的な計算技術によって、より複雑な計算をより早く行えるようになると、さらに抗体ミメティックの開発スピードが上がることになるでしょう。

そうなれば、今よりも幅広い分野の病気に苦しむ患者に対してより効果的な治療法を提供できるようになるでしょう。

会社ウェブサイト
www.acelyrin.com

 

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