2022年1月末での、日本で利用できる米国小型成長株に投資する投資信託のパフォーマンス比較をしました。
要点は以下の通りです。
1)2022年1月は、FRBの金利引き締めが予想より早くかつ大幅なものになるのではという懸念から、株式市場から流動性が一気に消え、成長株市場は急落となりました。特に小型成長株は米国株のみならず、日本においてもマザーズが暴落するなど、世界的に大幅下落の一か月となりました。
ベンチマークとなるラッセル2000グロースは、円建て-16.80%、ドル建て13.40%となっています。
(円建ては、対象投資信託と同じく、前日の米国終値を月末の為替で評価して計算)
2)ラッセル2000グロースおよびラッセル2000をベンチマークとする投資信託は以下の3つです。SBI:SBI米国小型成長株ファンド(グレートスモール)
BR:ブラックロック米国小型成長株式オープンAコース(為替ヘッジなし)
SMAM:三井住友DS-米国小型ハイクオリティファンド(資産成長型)
3)最近の動き
2022年1月は、大きなパフォーマンスの差がでました。長期的に高いリターンを上げているSBIが大きな下落となり、逆に長期的には弱いパフォーマンスであるSMAMが比較的傷が浅い一か月でした。「よりアクティブな投資」が今月に限っては悪影響がでているようです。2020年春の反発局面ではSBIが急上昇したのですが、今回はどのようになるのか注目されます。
(円建てリターン) 2022年1月末
投資信託
(注1) |
過去1ケ月 | 過去6ヶ月 | 過去1年 | 過去3年 | 過去5年 |
(実数) | (実数) | (実数) | (年率) | (年率) | |
R2000G | -16.80% | -14.73% | -11.62% | 11.96% | 9.90% |
SBI | -22.60% | -15.23% | -9.62% | – | – |
BR | -16.42% | -14.31% | -10.54% | 12.86% | 10.19% |
SMAM | -12.22% | -3.70% | 8.53% | 15.12% | 10.52% |
R2000G:ラッセル2000グロース:ベンチマークです。
4)中長期的なパフォーマンス (過去3年・5年)
中長期的な趨勢はあまり変化がなく、上記3つのファンドのベンチマークからの乖離をもとに比較すれば、SBIが圧倒的です。過去1年間では、SMAMにやや劣後していますが、長期的には大きなアウトパフォーマンスを維持しています。
尚、 SBI米国小型成長株は過去3年、5年のトラックレコードしかないため、実際の運用会社であるドリーハウス社の同じ運用戦略のリターンを使いました。
ドル建てリターン 2022年1月末
投資信託
(注) |
過去1年 | 過去3年 | 過去5年 |
(実数) | (年率) | (年率) | |
R2000G | -15.04% | 11.36% | 10.93% |
SBI-DH | -8.17% | 25.87% | 24.21% |
SBI-DH: Driehaus US Small Cap Growth Investor Class (DVSMX)
(注)手数料体系が国内籍ファンドと米国籍ファンドでは異なります。また、為替の影響もあるため、あくまで「長期的な傾向をつかむ」ための参考情報として見てください。
5)米国小型成長株ファンド VS SP500
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年以来32%~38%の持ち合いが継続していましたが、2020年2月末では41%近くまで急上昇しました。しかし、3月以降は一貫して「負け」ており、2022年1月の「小型成長株急落」により、長期的なレンジも一気に下に突き抜けています。小型成長株は、「相対的」に、2020年春のコロナショックも下回る、歴史的な割安水準となっています。
ただし長期的な視点でみれば、(2022年1月は大負けしていますが)、アクティブ運用のファンドの中には大勝しているものがあります。
SBI米国小型成長株と同じ戦略であるドリーハウスの米国小型成長株は、2022年1月の急落を含めてもSP500に対して、長期にわたって大幅なアウトパフォームをしています。さらに、現在の小型成長株の水準は全体として非常に魅力的な買い場を提供しています。SP500のインデックスファンドからの乗り換えを行うタイミングとも言えます。(小型成長株のインデックスはこの1年間でSP500 に対して40%近いアンダーパフォームをしています。さすがに、行き過ぎと思っています。)
(参考情報:ドル建てリターン) 2022年1月末
投資信託
(注3) |
過去1年 | 過去3年 | 過去5年 | 過去10年 |
(実数) | (年率) | (年率) | (年率) | |
R2000G | -15.04% | 11.36% | 10.93% | 11.70% |
SBI-DH | -8.17% | 25.87% | 24.21% | 19.35% |
SP500 | 23.29% | 20.71% | 16.78% | 15.43% |
VSP500 | 23.25% | 20.68% | 16.74% | 15.39% |
SBI-DH: Driehaus US Small Cap Growth Investor Class (DVSMX)
(SBI米国小型成長株ファンドと同じファンドマネージャーが、同じ投資戦略で運用しているファンドです。)
VSP500 : Vanguard 500 Index Fund Investor Shares (VFINX)
(ヴァンガード社が米国で運用しているSP500のインデックスファンドです。)
データソースはこちら
→ SBIの米国小型成長株(グレートスモール)を運用しているドリーハウス社のウェブサイト
→ ヴァンガード社のウェブサイト
(参考情報)
→ SP500 VS ラッセル2000 この2年間
→ 過去の投資信託リターンデータ
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