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アメリカ成長株:バックスサイト(Vaxcyte):結合ワクチンを開発

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アメリカ成長株:バックスサイト(Vaxcyte)の概要

バックスサイト
Vaxcyte Inc
ティッカーコード:PCVX
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/PCVX/annual

新型コロナウイルスによる世界的大流行のおかげで最近はメッセンジャーRNAワクチンがすっかり有名になりましたが、従来は病原体となる細菌やウイルスを弱毒化・不活化してワクチンとして使っていました。

病原体をそのまま使うワクチンは“全病原体ワクチン”と呼ばれますが、今は病原体の一部だけを使う“成分ワクチン”の開発の方がさかんに行われるようになっています。コロナウイルスのスパイクタンパク質だけを体内で作らせるメッセンジャーRNAワクチンも、広義では成分ワクチンの仲間と言えます。成分ワクチンは病原体そのものではないため、副反応が小さく免疫が中和抗体を効率よく作り出せるというメリットがあります。

今回紹介するバックスサイト社は、成分ワクチンの一つである“結合ワクチン”を開発していて、肺炎球菌を中心にレンサ球菌、歯周病菌の臨床試験を進めています。
肺炎球菌には現在100近くの菌株が認められていて、うち20種ほどが重症化すると言われています。
肺炎球菌は健康な人の鼻や喉の奥にも常在していますが、免疫が低下した病人や高齢者に誤嚥性肺炎を引き起こし死に至る場合もあるため、ワクチンで発症を抑えるのは大きな意味があります。

肺炎球菌の表面は菌株ごとに異なった多糖体で覆われていて、ワクチンにはそれぞれの型に対応する抗体の誘導が求められます。
しかもこの多糖体は免疫細胞に見逃されやすく免疫の誘導が弱いという厄介なもので、多糖体だけを抗原としてワクチンを作っても効果が低くなってしまいます。
そこで、毒素のような強く免疫を刺激するタンパク質の抗原と多糖体をつなげることで効果が高まるのを狙ったのが結合ワクチンです。

同社は“ストレプトリジン”という毒素タンパク質と肺炎球菌の多糖体をつなげた結合ワクチンを開発しています。
この毒素タンパク質を作るには通常、タンパク質の設計図であるDNAを挿入した大腸菌、酵母、昆虫・植物・動物の細胞を培養して抽出しますが、細胞毒性が高いタンパク質では培養できない上に、時間・収益の効率が悪く無駄なものも大量に作られてしまうという欠点があります。

細胞内でタンパク質は22種のアミノ酸をDNAの設計図に基づいた順番で鎖状につなげて作られますが、この一連の作業は生きた細胞でなくても人工的に行わせることも可能です。

同社の“XpressCF”という無細胞タンパク質合成プラットフォームは、タンパク質の設計図となるDNAを入れるだけで目的のタンパク質だけを作成できるシステムで、
・目的のタンパク質を大量に効率よく作れる。
・細胞毒性の高いタンパク質も作れる。
・作られたタンパク質が分解されない。
・人工アミノ酸を組み込める。
・細胞特有の余計な加工がされない
などのメリットがあります。

同社は特殊なアミノ酸を使った無細胞タンパク質合成によって人工的に改変した毒素タンパク質(ストレプトリジン)を作り、免疫を強く誘導する部位が表に露出するように肺炎球菌の多糖体と結合させることに成功しました。

こうして作られた多糖体・ストレプトリジン結合ワクチンは、肺炎球菌のようなワクチンを作りにくい病原体にも強い免疫を誘導することが期待されます。

第二相臨床試験中のVAX-24は、24種の肺炎球菌の表面にある多糖体の結合ワクチンで、広範囲の菌株に対する強い免疫を誘導し、感染予防効果を長期間維持することを目指しています。
肺炎球菌ワクチンとしては、すでにPPV23という多糖体だけを使ったものが使われてきましたが、免疫誘導が弱く免疫の弱い幼児や老人には効果がほとんどないという問題がありました。

幼児や老人にこそ必要なのに効果がないのでは意味がありませんが、同社のVAX-24はそれを打ち破る可能性を秘めています。
多糖体のようなタンパク質でない抗原は免疫の誘導が低い傾向にあり、抗原性の高いタンパク質を“抱き合わせる”結合ワクチンの有用性は高いのですが、単純につなげばよいというわけではありません。

両者の抗原性を保ちながらうまく結合させるためには同社の持つ抗原タンパク質の設計と合成の技術が必須です。

コロナのパンデミックで大混乱に陥った世界ですが、今後もまた別の厄介なウイルスや細菌が大流行する可能性も十分にあり、いかに素早く有効なワクチンを投入できるかが重要です。
今回は大活躍したメッセンジャーRNAワクチンですが、コロナウイルスがスパイクタンパク質を表面に露出しているタイプであったから有効であったわけで、多糖体のような別の物質で覆われていたらどうなっていたか分かりません。

次にどのようなタイプの病原体が大流行しても対応できるように多様なワクチン製造法を磨いておくことは大事で、同社の結合ワクチンもその一つであることに間違いはありません。

会社ウェブサイト
www.vaxcyte.com

 

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