アメリカ成長株:オーリンク・ホールディングス(Olink)の概要
オーリンク・ホールディングス
Olink Holdings AB
ティッカーコード:OLK
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/OLK
ヒトゲノムの解読が2003年に終了し、病気の予防・診断・治療に役立つことが期待されましたが、膨大な量の情報の解析は未だに終わっていません。
ゲノムの中からはタンパク質をコードした遺伝子がたくさん見つかっていますが、実際に体内で機能するのは遺伝子ではなくその情報から作られたタンパク質であり、遺伝子よりもタンパク質の方が体の状態を反映しています。
病気を理解する上でも重要なのはタンパク質であるため、体内に存在するタンパク質の変化を調べることは病気の診断に大きな役割を果たしています。これは“タンパク質バイオマーカー”と呼ばれていて、ガンの検査に使われる腫瘍マーカーもその一つです。
今回紹介するオーリンク社は“プロテオーム解析”という手法を使ってタンパク質バイオマーカーを調べるサービスを提供しています。
プロテオーム解析とは、サンプルの血液や組織に含まれるタンパク質の分布を網羅的に調べる検査方法で、液体クロマトグラフィーや電気泳動などの分析方法がありますが、膨大な種類のタンパク質を分離して定量するのは非常に困難でした。
同社が開発したPEA法は、抗体反応とPCRを組み合わせた画期的な方法で微量のサンプルのプロテオーム解析を短時間で正確に行うことができます。
PEA法によるプロテオーム解析は新型コロナウイルスの対策にも役立つもので、
・サイトカインストームの予測
・重症化で体に何が起きるのか
・ARDS(急性呼吸窮迫症候群)の予測/予防
・回復した患者の社会復帰の判断
・治療薬の開発
・ワクチンの開発
などに活用されています。
コロナが猛威を奮っている今、治療薬の開発が急がれていて既存薬をコロナ治療に応用する“ドラッグリポジショニング”という手法が使われています。これは一から開発するよりも時間と手間が大幅に省略できます。
レムデシビル、アビガン、イベルメクチン、デキサメタゾンなどの本来は別の治療のために開発された薬のコロナ治療への転用が進められていますが「効果が出ているか」「目的外使用が体にどのような影響があるのか」をPEA法によって速やかに評価することができます。
現在、ファイザー社、モデルナ社が開発したメッセンジャーRNAワクチンが驚くべき効果を発揮していますが、こうした全く新しいタイプのワクチンは体にどんな副反応を引き起こすか分かりません。新規のワクチン開発でも体への影響を詳細に調べることが重要であり、プロテオーム解析は予期しないリスクを減らすことに大きく貢献します。
コロナが収束したとしても、これからどんな未知のウイルスや病原体がまた発生するか可能性があります。このような脅威と闘っていく上でプロテオーム解析はワクチンや治療薬を開発する重要な基盤技術であり、今後も技術開発が進み発展していくことになるでしょう。
会社ウェブサイト
www.olink.com
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