アメリカ成長株: カービー(Kirby Corp)の概要
カービー
Kirby Corp
ティッカーコード：KEX
上場市場：NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/KEX
米中の経済緊張、ロシアのウクライナ侵攻により、今後世界はブロック化すると可能性があります。少なくともこれまでとは違ったグローバル経済になります。エネルギーも資源も、これまでのように「安い場所から輸入」と「確実に手に入るところから手に入れる」を混ぜ合わせた選択となります。
今回紹介するカービー社は、アメリカ国内・周辺での「エネルギー全般」に関連する銘柄です。同社は、「米国国内の水運」と「エネルギー関連を中心とする部品販売」の２つの事業を行っています。
１．米国国内の水上輸送ビジネス
売上の6割は、水上輸送ビジネスになります。
日本の場合は、島国であり川は急流のため、水運は主に外洋の船になります。しかし、米国は大陸国家であり、ミシシッピ川等の内陸水運、湾岸水運も大きなウェイトを占めます。
ところで、米国国内の水運業は「ジョーンズ・アクト（Jones Act）」という法律が適用されます。国内の貨物輸送につかう船舶は、「米国内で生産、米国人所有、米国籍、かつ米国人が手配する」必要があります。従って、外国企業との競争はなく、国内企業独占の産業となります。
こういった業界環境にある国内水運業で、カービー社は主要プレーヤーとなっています。内陸用（川や運河）に1025の艀と255のタグボート、沿岸用に31の艀と29のタグボートを持つ、米国最大のタンク艀のオペレーターです。
艀（はしけ）というのは、自分では動力を持たず、タグボート等で引っ張ってもらって移動する浮遊体です。タンク艀は、その艀（浮遊体）の上に原油のタンクを載せたものです。英語ではTank Bargeといいますが、グーグルで調べると下記のような画像がでてきます。
→ タンク艀
波の強い外洋では通用しないのですが、波の無い（あるいは少ない）、運河や河川、沿海地域での輸送に使う船です。
同社の積荷の中身ですが、石油化学製品：50%、黒油（原油&重油）：26%、精製後石油製品：20%、農業用化学製品：4%となっています。
国内企業独占の事業の性格から、多くの零細企業があります。同社は地域事業者を買収することで、規模の経済を向上させてきました。これまでに、40社も買収を行い、現在では市場シェアは内陸輸送で26%、湾岸輸送では16%となり、市場のメインプレーヤーです。
２．部品販売
売上の4割は、エンジン、トランスミッション、設備および部品の販売事業です。
この分野も売上の半分は原油・天然ガス関連で、残り半分は発電所、商業用港湾、観光用海岸施設、鉱工業等幅広い産業がクライアントとなっています。
この部品販売ビジネスも、企業買収を活用してクライアントとのネットワークを拡大してきました。これまで21社の買収を行ってきました。
上記のように、国内水運・部品販売を合わせて全体を見ると、米国国内の石油・天然ガスの製品の輸送・施設への部品販売のウェイトは非常に高くなっています。このため、同社のビジネスは、米国のエネルギーが内向きになればなるほど、成長しやすくなります。世界のブロック化の恩恵を受けやすいと言えます。
さらに、船による輸送は浮力を利用できため、他の輸送方法（飛行機、自動車、列車）に比べエネルギー効率が良いため「エコ」でもあり、ESG的にも投資対象となりうる銘柄でもあります。
非常に地味で、ローテクなのですが、世の中の流れに乗った成長企業と言えます。
会社ウェブサイト
www.kirbycorp.com
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