アメリカ成長株: イリジウム・コミュニケーションズ(Iridium Communications)の概要
イリジウム・コミュニケーションズ
Iridium Communications Inc
ティッカーコード:IRDM
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/IRDM/annual
イリジウム・コミュニケーションズ社は人工衛星を使った音声とデータの衛星通信サービスを提供しています。
衛星通信には静止衛星と周回衛星を使う2つの方式があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。同社の“イリジウム”は周回衛星タイプで、66機の人工衛星が地上に対して780キロの高さをぐるぐると回り、地球上全ての地域をカバーしています。
静止衛星は3万6千キロの上空に静止していて、地域を限定したサービスの提供に向いていますが、衛星までの距離が長いため遅延が生じる上に南極と北極のあたりはカバーできないという制限があります。
日本にはワイドスターという静止衛星を使った日本領土限定のサービスがあり、災害対策や船舶で利用されています。
周回衛星のイリジウムは、南極北極を含む地球全域をカバーしていて、衛星高度が低いため遅延も生じません。
イリジウムのサービス開始は1998年で当初は音声通話のみの提供であったため、災害で地上の通信インフラが破壊された際の緊急時や未開の地域、海上、山岳地帯で主に使われていました。
その他の衛星通信が地上のアンテナを必要とするのに対してイリジウムは地上のアンテナを介さずに端末同士で通信できるため特に災害に強く、非常時用として重宝されてきました。
しかしスマホやパソコンが普及した今は通話よりもデータ通信のニーズが高まっていて、同社も2015年から最大704Kbpsの速度で通信可能な“Iridium Certus”という高速データ通信サービスを開始しています。
これにより政府・自治体による災害・緊急時の利用だけでなく、ドローン・自動運転の自律システム、個人のレジャー、陸上・海上輸送、工業、航空、研究、エネルギー産業など幅広い分野で利用されるようになっています。
最近では“IoT(物のインターネット)”と呼ばれる通信を前提とした機器がロボット、航空機、鉄道、建設機械などに組み込まれていますが、同社は場所を選ばずにIoTが利用できるIoT関連製品にも注力しています。
音声通話からデータ通信への広がりとIoTの登場は大きな変革となり、衛星通信の需要は一気に高まることになりました。
様々なものがネットワークに依存するようになり、どんな場所でも利用できる衛星通信の需要は上がり続けていて、最近ではイーロン・マスク氏のスペースXやグーグル、アマゾンといった巨大企業も参入してくるなど競争が激化しています。
各社がこぞって人工衛星を打ち上げれば必然的に衝突の危険性が高まるわけで、事故によるサービスの中断やスペースデブリの問題も懸念されていますが、巨額の初期投資が必要な衛星通信事業に新規参入が相次ぐほど需要と将来性があるということでもあり、なくてはならない重要インフラの一つになっていくのは間違いないでしょう。
会社ウェブサイト
www.iridium.com
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