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アメリカ成長株: デンベリー(Denbury):CCUSで地球環境にやさしい石油関連銘柄

エネルギー

アメリカ成長株:デンベリー(Denbury)の概要

デンベリー・リソーシズ
Denbury Inc (New)
ティッカーコード:DEN
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/DEN/annual

デンベリー・リソーシズ社は米国の南部とロッキー山脈地域にある既存の油田に残存する石油や天然ガスの採掘と二酸化炭素の回収事業を行っています。

油田からの採掘には一次~三次採取までの三つの段階があります。
一次採取:貯留層が持つ圧力で自然に湧き出る分を回収
二次採取:外から加えた水や天然ガスで押し出して回収
三次採取:底に溜まっている粘性の高い石油にガス、熱、化学薬品を加えて流動性を上げて回収

二次と三次採取は“石油増進回収”(EOR:Enhanced Oil Recovery)と呼ばれていて石油の回収率を上げる鍵を握っています。
一次で回収できるのは埋蔵量の30%ほどに過ぎず二次でも20%ほどであり、三次の段階でもまだ50%も残っていて、ここでうまくいけば最終的な回収率を最大80%くらいまで高められます。
同社は産業活動で排出される二酸化炭素を三次採取の圧入ガスに使うことで、抜き取る石油と引き換えに油田の地中に封入します。

石油の使用で出る二酸化炭素を相殺し、理屈上はトータルでの大気中の二酸化炭素を増加させません。この手法で採取された石油は“ブルーオイル”と言ってカーボンネガティブ(発生する二酸化炭素量よりも回収する量が上回る)であるとされています。

未来のエネルギーとして期待される水素にも生産時に二酸化炭素を一切出さないグリーン水素と、発生した二酸化炭素を全て回収するブルー水素があります。ブルーオイルもブルー水素と同じく発生する分の二酸化炭素を回収するためこう呼ばれていて、化学的には全く同じ石油ですが採掘法の違いで単純に採掘されたものと区別しています。

同社は工場や発電所で排出される二酸化炭素を回収し、石油増進回収での地下貯留に回す一方、化学製品やバイオ燃料の原料の二酸化炭素として再利用するソリューションも提供しています。
これはCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage:二酸化炭素回収・利用・貯留)と呼ばれていて、温暖化対策の一つの手段として認められています。
同社は1300マイルを超える世界最大規模の二酸化炭素輸送の専用パイプラインを持ち、二酸化炭素回収業界のトップリーダーとなっています。

地球温暖化の原因として真っ先に槍玉に挙げられる石油ですが、その利用範囲は広大でそう簡単に脱却できるものではありません。
枯渇すると言われ続けてきましたが、採掘技術や油田探索の発達により石油の埋蔵量にはまだ余裕があるとも言われています。
どんなに石油を使っても排出される二酸化炭素を直接または間接的に回収できれば理屈上は問題ないことになります。

車や発電機などの内燃機関から個別に排出される二酸化炭素は回収が困難だとしても、発電所や工場は回収する施設を併設できます。原子力はエネルギーを取り出した後の核廃棄物の処理が問題となりますが、石油も同じような立場に置かれることになってきました。

しかし放射能と比べれば二酸化炭素は安全で扱いやすく、はるかに対処しやいのも事実で、温暖化対策とエネルギー確保が急がれる今は石油をあきらめるのはまだ早いと見るべきです。現在はまだ、排気ガス中の二酸化炭素だけを分離して濃縮するにはコストと手間がかかってしまいますが、二酸化炭素回収の技術にブレークスルーがあればCCUSが今よりもさらに普及し、同社の事業も一気に拡大することになるでしょう。

会社ウェブサイト
www.denbury.com

 

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