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アメリカ成長株:サイトキネティクス(Cytokinetics):心不全治療薬の開発

ヘルスケア・バイオ

アメリカ成長株:サイトキネティクス(Cytokinetics)のアップデート

サイトキネティクス
Cytokinetics Inc
ティッカーコード:CYTK
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CYTK

サイトキネティクスについては、以前一度紹介しました。下記のページも参照ください
→ サイトキネティクスの概要

 サイトキネティクス社は、画期的な心不全治療薬として期待される“オメカムチブ・メカルビル”の臨床試験を進めていることを2020年の1月に紹介しましたが、その続報です。

 心不全の大きな原因の一つは心筋の収縮不全なのですが、収縮にはカルシウムが必要であるため従来の心不全薬は心筋へのカルシウムの流入を増やすことで収縮を促進します。

しかし、カルシウム濃度の変化が招く不整脈、酸素消費量の増加、心臓死などの副作用があり、あまり安心して使えるものではありませんでした。一方オメカムチブ・メカルビルは、心筋を動かしている分子に直接働きかけるためカルシウム量の変化を伴わず、不要な心筋の活動を促すこともなくこうした副作用がないというのが画期的な点でした。

有望視されていたオメカムチブ・メカルビルの第3相臨床試験が最近終了したのですが、期待されていたほどの劇的な効果はなく、しかも肝心の“死亡率”を下げることができないという残念な結果に終わりました。

それに加えて、有効濃度と中毒濃度の差が小さい、つまり少ないと効かないし多すぎると毒性が出てしまうことも判明しました。これは、投薬には血中濃度のコントロールができる点滴が必要になり、当初想定されていた経口薬の形で提供するのが難しいことを意味しています。

サイトキネティクス社はオメカムチブ・メカルビルを世界最大の製薬企業であるアムジェン社と共同開発していましたが、先月この開発での提携を解消するとの発表がありました。

この件についてサイトキネティクス社は、オメカムチブ・メカルビルの開発・商品化の権利を取り戻したとしていますが、アムジェン社が見切りをつけたと見るのが妥当でしょう。

全体としての死亡率は低下しなくても、有効に使える場面もあるとの評価もありますが、アムジェン社が撤退したという事実が全てを物語っています。期待の新薬とされていても臨床段階で予期せぬ結果が出てしまうこともあり、アムジェン社のような巨大企業でも見誤るほど新規治療薬の開発は難しいのです。

しかし、なぜオメカムチブ・メカルビルが死亡率を下げられなかったについての詳細な研究もされていて、今後原因がはっきりすればそこを補う新しい薬や方法を開発できる可能性も捨てきれず、今後に期待したいと思います。

会社ウェブサイト
www.cytokinetics.com

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