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アメリカ成長株: センテッサ(Centessa):“血液ガン”の治療を目指すユニークなタンパク質分解剤を開発

ヘルスケア・バイオ

アメリカ成長株:センテッサ(Centessa)の概要-2

センテッサ・ファーマシューティカルズ
Centessa Pharmaceuticals PLC
ティッカーコード:CNTA
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CNTA

センテッサ・ファーマシューティカルズ社はガン、血友病、自己免疫疾患、高血圧、神経障害、遺伝病などの様々な疾患のための治療薬を開発する10の製薬企業を子会社として抱えています。

今回はこれらの子会社のうちのJanpix社が開発している白血病やリンパ腫などの“血液ガン”の治療を目指すユニークなタンパク質分解剤をピックアップして紹介します。

血液中には赤血球や白血球などの血液細胞が流れていますが、これらは元になる造血幹細胞が成長して変化したものです。血液ガンは造血幹細胞の遺伝子に何らかの原因で変異が生じてガン化してしまう病気です。

治療は抗ガン剤による化学療法を中心に行われますが、ガン細胞だけでなく健常な細胞もダメージを受けるため治療を中止せざるを得ないような強い副作用や合併症が現れることもあります。

そこで全ての造血幹細胞を抗がん剤や放射線で完全に排除してから健康な人の骨髄から造血幹細胞を移植することになります。

しかし他人から提供してもらう必要がある骨髄移植は、ドナーとの適合やドナー側の大きな負担などの問題がある上に適合者がいても提供に応じてくれるとは限りません。移植できたとしても免疫力の低下や自己免疫疾患などの免疫系のトラブルに見舞われる場合もあります。

最近は副作用が大きい化学療法に代わって分子標的薬による治療も試みられるようになりました。分子標的薬は標的を絞って攻撃するため副作用を最小限に抑えられます。

Janpix社が開発する分子標的薬は細胞増殖の司令を伝える“STAT”と呼ばれるシグナルタンパク質を標的としています。ガン細胞の中のSTATは無秩序な細胞増殖を引き起こしており、これを排除することでガン細胞の増殖を抑えることができます。

酵素のようなタンパク質の働きを抑えるためには、“活性中心”と呼ばれる弱点をつくのが通常の戦略です。例えば“リパーゼ”という脂質分解酵素の活性中心は脂質がすっぽりと収まる凹んだ部分で、ここで脂質の分解が起こります。

リパーゼの働きを抑えるためには活性中心を標的にした阻害剤を開発すればよいわけです。ところがシグナル分子であるSTATにはリパーゼの活性中心に相当する部分が存在しないのです。そこでJanpix社は阻害剤の代わりに標的のタンパク質の構造を変化させる薬剤を考案しました。

一般的にタンパク質は遺伝子に書かれている設計図に従ってアミノ酸を順番に連結して一本の鎖として作られますが、機能を発揮するためには正確に折りたたまれる必要があります。中には“折りたたみ”に失敗するタンパク質もあり、これは速やかに細胞にある分解除去システムによって処分されます。

同社が開発した治療薬は標的のタンパク質(STAT)に結合することで折りたたまれた構造をほどいてしまうもので、構造が変わってしまった標的のタンパク質は機能を失います。この“ほどかれたSTAT”は折りたたみに失敗したその他のタンパク質と同様に分解除去されますが、標的のタンパク質を失活させた上に排除までするため高い効果が期待されます。

2重にブロックする方法はとてもユニークで今のところ似たような開発薬は他に見当たりません。これは活性中心がないタンパク質が引き起こすその他の病気の治療薬にも応用できる可能性がありますが、まだ前臨床試験の段階であり今後の臨床試験でどういう結果が得られるのか楽しみです。

会社ウェブサイト
www.centessa.com

 

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