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アメリカ成長株: センテッサ(Centessa):肺動脈性肺高血圧症のための治療薬を開発

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アメリカ成長株:センテッサ(Centessa)の概要

センテッサ・ファーマシューティカルズ
Centessa Pharmaceuticals PLC
ティッカーコード:CNTA
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CNTA

 センテッサ・ファーマシューティカルズ社はガン、血友病、自己免疫疾患、高血圧、神経障害、遺伝病などの様々な疾患のための治療薬を開発する10の製薬企業を子会社として抱えています。

どの子会社が開発する治療薬も基本的には病気の原因となるタンパク質を特定して除去したり、代わりのタンパク質を加えたりすることで症状緩和を目指すという点で共通しています。

今回はこれらの子会社のうちのMorphogen-IX社が開発する肺動脈性肺高血圧症のための治療薬“MGX292”をピックアップして紹介します。

肺動脈性肺高血圧症は肺の血管が狭くなり血圧が上昇して最悪死に至る遺伝性の希少疾患で、日本では難病に指定されています。

肺動脈性肺高血圧症の患者さんはBMPR2というシグナル受容体タンパク質に変異があることが分かっています。正常なBMPR2は血管細胞の表面にあり、血中を循環するBMP9というシグナル伝達タンパク質と結合して肺の血管の内側を覆う細胞を保護するシグナルを受ける役割があります。

変異した“異常な”BMPR2は、BMP9とうまく結合できないためシグナルが伝わらず肺血管細胞の機能不全を引き起こします。保護されなくなった血管は収縮して血液の流れが悪くなり高血圧につながります。

病気に関わる異常なタンパク質に対しては、抗体で除去する“抗体治療薬”が使われることが多いのですがBMPR2の場合には異常なタンパク質が害をもたらすというよりも機能しないことが問題なので除去しても問題解決にはなりません。

このようなケースでは除去するのではなく、異常なBMPR2の代わりに正常なものを作って入れてやればいいわけですがBMPR2のようなシグナル受容体は大きな分子のタンパク質で構造が複雑な上に細胞膜上に正しく配置して正常に機能させるのは困難です。

そこで、受容体ではなくシグナル分子の側のBMP9に注目し、異常型BMPR2にも結合できるようにBMP9を改造したのがMGX292です。MGX292は人工的に多種のBMP9の変異体を作り、この中から異常型BMPR2と結合できるものをスクリーニングした結果選び出されたものです。

異常なタンパク質をターゲットに開発を進めるのが通常ですが、周辺の正常なタンパク質をターゲットにするというユニークな試みで、今のところ開発中の治療薬で競合するものは存在しません。

タンパク質を治療薬として使う場合、錠剤の形で提供できる低分子治療薬と比べると大量生産が難しく高価になってしまいますが、肺動脈性肺高血圧症のような希少疾患の治療薬は薄利多売を目指す一般向けの市販薬とは目指す方向が違います。

EUでは希少疾患の治療薬を開発する企業には多くのメリットが与えられていて“希少疾病用医薬品”に指定されると
・10年間の独占販売の権利(小児薬は12年)
・臨床試験のアドバイスやフォローアップ
・審査期間の短縮
・審査費用の全額免除
などの恩恵があります。

希少疾患の治療薬の開発は人知れず苦しんでいる少数の患者さんを救うというだけでなく、開発企業側にもメリットがあり、希少疾患の治療薬を手掛ける企業の多くは順調に売上を伸ばしています。

また、後になってメジャーな疾患にも応用できることが判明し、多くの患者に使えるようになれば、しばらくは高価格のまま大量に販売できるため大きな利益が得られる可能性もあります。

センテッサ・ファーマシューティカルズ社は今回紹介したMorphogen-IX社のような希少疾病用医薬品を開発する子会社を意図的に集めていて、臨床試験や販売で有利に展開できる可能性があり希少疾患を狙う戦略が成功するかどうか今後に注目したいと思います。

会社ウェブサイト
www.centessa.com

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