アメリカ成長株:コデクシス(Codexis)の概要
コデクシス
Codexis Inc
ティッカーコード:CDXS
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CDXS
コデクシス社は産業や医学で使われる生体触媒(酵素)を開発・生産しています。
触媒には化学反応を促進する働きがあり、化学触媒と生体触媒があります。
化学触媒と言えば、オキシドールに二酸化マンガンを触媒として加えて酸素と水に分解させる理科の実験が有名です
生体触媒は一般に酵素と呼ばれる生体内で働くタンパク質で、体に必要な物質を作る化学反応を促進します。
そのままでは進行しない化学反応を促進するという意味ではどちらも同じですが、化学触媒が金属などの単純な分子であるのに対し、生体触媒である酵素はタンパク質から成る巨大分子です。
大雑把に言って化学触媒は「高温で雑」、酵素は「低温できめ細かい」というイメージで、例えばある物質を分解する場合、酵素は風呂の湯くらいの温度で狙った部位だけを切断することが出来ます。
酵素はその特性を生かして、医学、食品加工、化学工業、汚水処理と幅広い分野で利用されていて、身近なものとしては汚れを分解する酵素を添加した洗剤があります。
使われるのは天然の酵素を人為的にチューニングした“人工酵素”で、タンパク質工学によって目的に合わせて作られたものです。
同社はタンパク質工学を利用した独自の技術で新しい人工酵素を開発し、以下の分野に提供しています。
・ライフサイエンスツール
PCR、ゲノム解析、バイオセンサーなどの研究・検査・検出とDNA、RNAの合成。
・医薬品製造
工程数の縮小、歩留まりの向上、エネルギー削減、材料の節約など製造の効率化。
・治療薬
酵素を体内に入れて治療に利用。
先天的に特定の酵素を持たないために代謝異常を起こしている患者に酵素を補充。
・食品、飲料、栄養
食品の口当たりや風味の改善、歩留まりの向上、チーズ、酒などの発酵食品の製造。
収量を増やし廃棄物を削減。
・産業
プラスチックのリサイクル、人工関節、人工軟骨、インプラントなどの生体材料、高栄養価の家畜飼料の製造。
大量の排水、汚染源となる化学物質、排熱を出すアパレル産業の環境負荷軽減。
自社開発にとどまらず、CodexとCodeEvolverという人工酵素開発ソリューションも提供していて、事業者が独自の生体触媒を利用できるようにサポートしています。
最近は世界共通のスローガンとしてSDGs(持続可能な開発目標)が掲げられ、エネルギーと資源の浪費や廃棄物を減らすことが求められるようになりましたが、人工酵素は様々な産業分野における製造工程の効率化、時間短縮、コストダウンを実現します。
また、製造に必要な原材料・エネルギー・水や廃棄物・排水を減らし、さらに廃棄物をリサイクルすることにも役立ちます。同社はこうした点をあげて人工酵素がSDGsを達成するために大きく貢献することを強調しています。
材料を別の物質に作り変える化学反応を伴う製造工程には効率を著しく左右する触媒が不可欠でありその重要性は普遍的です。
途上国の発展と共により多くの製品が必要になり、製造が益々盛んになることは目に見えています。
二酸化炭素の排出を巡っては先進国と対立する結果となりましたが、その二の舞いにならないようにするためにも触媒の有効活用が環境負荷を抑える上で大きな役割を果たしていくのは確実です。
近年のタンパク質の構造解析やコンピューターによる人工酵素の設計方法の発達によってタンパク質工学は着々と進歩しつつあり、今までになかったような画期的な触媒が登場して困難な問題を解決できるようになるかもしれません。
会社ウェブサイト
www.codexis.com
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